2018年07月02日

「いちびり」の意味について

さて、また昔話だが子どもの頃に岡山から兵庫に引っ越したことがあった。
数年してまた舞い戻ってくるのだが、その間岡山弁の少年は関西弁の渦の中で過ごすことになった。
それで岡山弁の少年は、さまざまな関西ことばを憶えていく羽目に陥る。
「捨てる」ことを「ほかす」というのも、なるほどうわさに聞いていた通りであった。
それから「あなた、君、おまえ」のことを「じぶん」というのも新鮮であった。
そうやって日々吸収していく関西のことばのなかで、なんだか意味が分からなくてとまどったのに「いちびる」というのがある。
もしくは名詞用法で「いちびり」、形容詞的に「いちびりな」とかもある。

この「いちびり」の意味がいまいちピンとこなくて、友達との日常会話の中で出てくるたびに意味が分かったふりをして「ははは」と半笑いでごまかしたりしていた。
他のことばの場合、だいたい使われる会話の文脈やその場のシチュエーションでなんとなくその意味が類推できるのであるが、「いちびり」の意味というのは、とうとう最後までよく理解できなかった。

それでも時々、キヨミズの舞台から飛び降りる覚悟で「おまえもたいがいいちびりやなあ」とか、わたし自身も分かった風に会話の中に取り入れたりした。
その時はもう、ほんとうにこの「いちびり」の使い方はこの感じで合っているのだろうか、見当違いな使い方で会話がしーんとしずまり返ったりしないだろうか、とドキドキしたものである。
しかしわたしの使った「いちびり」でその場がしずまり返ることは、幸いにしてほぼなかったと思う。

今あらためて「いちびり、いちびる」の意味を調べてみると、「市場のような活気あるやかましい様子の言葉〜市振ることから、目立ちたがり屋やお調子者を揶揄する時に使われることが多い。また、人と違う変わったことをしている人を良い意味で褒める場合にも使われる」とある。

さわがしいやつやお調子者をからかう意味というのは、なんとなく分からないでもない。
しかし後半の、良い意味で使う場合もある、というのはなかなか高度な用法である気がする。
というか相手を持ち上げるように「いちびり」が使われている場に居合わせたことはない。

わたしの観察では、関西人どもは「いちびり」を会話の調子を整える目的で、例えば「アホやなあ」とかと同じような感じで話の中にテキトーに入れてくる印象がある。
つまりその「いちびり」にはあまりたいした意味はなくて、相手を軽く落とす時にあまり具体的な意味を込めずにぶっ込んでくるのではないか。
その辺が「いちびり」の意味を捉えにくくしている主要因ではないか、などと考えたりもするのだが、その辺の間合いは関西弁ネイティブでないわたしには死ぬまで分からないのだろう、と思ったりした。
posted by ヤス at 11:54| Comment(2) | 徒然なるままに
この記事へのコメント
岡山弁でもわからんことがあるからね〜
\( ˆoˆ )/
一番わからん言葉って
何県だろ〜ね
Posted by aoko at 2018年07月02日 22:39
この文章の主題は「いちびり」の分かりにくさであって方言一般の分かりにくさではない。
したがって上記のコメントは、これがもし国語のテストなら「0点」をつけざるを得ない。
ざんねんでした。
Posted by ヤス at 2018年07月03日 11:57
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