2018年05月13日

MRJの残した教訓

最近国産ジェット旅客機MRJ関連のニュースがまた少し増えたように思う。
5月になったからだろうか。
3月決算関連の発表などがあって、あらためて三菱重工グループの財務内容がクローズアップされているのかもしれない。
MRJの開発にあたっている三菱航空機は三菱重工が64%出資する子会社であるらしい。
その子会社の三菱航空機はMRJの開発費がかさんで1000億円くらいの債務超過に陥っている。
それを親会社の三菱重工が債務超過解消にむけて2018年度内になんとかしようという話である。

で具体的な債務超過解消の手法はどうするのかというと、三菱航空機が三菱重工から借りている借金を株式に転換するそうだ。
報道によると2017年3月末時点で重工からの借入は3600億円を超えており現在さらに増えている。
だから債務超過のためのタネは十分にあるわけだ。
これにより貸借対照表の「債務」が減って「自己資本」が増えてめでたしとなるのかというと、これがそうでもないから難しい。

現在三菱航空機への出資は重工が64%の他に三菱商事とトヨタが10%ずつ、他に商社その他が10数%出している。
この状況で重工が借入1000億円分を株式に転換すると出資比率がたちまち増えてバランスが崩れる。
だからトヨタとか三菱商事など他の出資者にあらかじめ相談して応分の出資を仰ぐ、というのが普通の流れになるのだろう。

そういうやや複雑な交渉を残しているので「2018年度中」と実施時期に幅をもたせた表現になったということだと思う。

前にも書いたと思うが、MRJをめぐる環境は非常に厳しい。
大型旅客機の二大巨頭であるボーイングとエアバスが、中型旅客機専業メーカーであるブラジル・エンブラエルとカナダ・ボンバルディアとそれぞれ提携することがすでに明らかになっている。
ボーイング、エアバスとも今後急成長が見込まれる50〜100席クラスのリージョナルジェット機市場を押さえておこうと、当然のように手を打ったということだと思う。

ということで少し気が早いがMRJはほぼ失敗が約束されているように思われる。
今のところMRJの受注予約のキャンセルは先日のイースタン航空の40機しか出ていないが、他のところだってどなるか分からない。
これは「こっちの方からキャンセルを申し入れる」と交渉上不利だから三菱の方が「参りました」というのを単に待っているだけのように見える。

MRJがここまでひどい状況になったのは、もっと早い段階でやるべきこと、できることを片っ端からやらなかったせいであると思う。
三菱航空機では最近になって人材のリストラを進め、開発経験のある外人スタッフを大幅に増やしたりしているらしい。
それを最近になってやっと着手したのは「日本人による開発」にこだわりがあったのかもしれない。
エンブラエルがボーイングと提携したのだって、MRJが開発初期の段階でボーイングと提携交渉していればなあとかつい思ってしまう。

MRJプロジェクトを見ていると、何か難しいことに挑戦するときは、やるべきこと、できることは少々無理を押しても全部やっとかないと後で泣きを見る、そして大いに後悔が残る結果になるんだなあということである。
少なくともMRJはそういう教訓は残したと思う。
posted by ヤス at 15:36| Comment(2) | 徒然なるままに
この記事へのコメント
三菱の経営体質がそもそもゆっくりなんだわ
( ̄◇ ̄;)
Posted by aoko at 2018年05月13日 16:55
了解です。
Posted by ヤス at 2018年05月13日 17:37
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