2017年07月30日

緩和出口の心配

さて、昨今の日本の政治状況はいろいろ混乱している。
しかしわたしの目下の関心事として、日銀の金融緩和からの出口戦略の心配がある。

一部のリフレ派識者は、日銀保有の国債350兆円は政府と日銀の連結で見れば消えてなくなる、さらに日本政府には670兆円の保有資産があるので、実質的な借金額はそれと差し引きして考えるべきだということもよく聞く話だ。

しかし、日銀保有国債の債権放棄も政府資産売却による公債圧縮も、「含み」の数字で見る分にはなるほどそうなのだが、これらを実行することはおそらく不可能というのが悩ましいところだと思う。
だから連結で見れば国債残高が減るとか政府資産と債務の差額に注目すべきとかいう意見は、一種の精神安定剤以上のものではない。

最近日銀で金融緩和の出口戦略について議論が始まっているようだ。
ニュースによると日銀内部で出口の具体的なシミュレーションも行っているという。
金融緩和を止めた時、つまり今は毎年国債の買い入れを80兆円とか60兆円とか目標を決めて銀行から買い上げているわけだが、それを止めると国債価格がどのくらい下がるか(金利がどのくらい上がるか)、その場合の日銀の損失がどうなって財務状況がどうなるのか、そういったことをせっせと計算しているのだろう。

出口戦略でひとつポイントになるのは日銀に多額の損失が出て債務超過になる心配があることだ。
日銀は総資産が今年5月末に500兆円を超えたらしいが、自己資本は8兆円ほどしかないらしい。
ある試算によると出口にあたって日銀は年間数兆円から最大10兆円規模の損失が出て最悪一年で債務超過になる可能性も言われている。
(一方で日銀に損失は出ないというシミュレーションもある)

しかし日銀は数ある日本の企業の中で、間違いなく最も資金繰りが安定している。
だから債務超過になったくらいでは倒産しない。(というか原理として倒産しない)
だから識者の中には債務超過でもまったく問題ないという人がいる。

しかし例の「連結論」で考えると、日銀の損失は政府の損失になる。
連結論の立場からは、政府は日銀の損失を補填する必要があるだろう。
しかし緩和を停止し、つまり新規国債の発行が無い状態で政府がこれを補填することはきわめて難しい。
だから政府としては日銀の債務超過を「静観」する他に道はない。

まあ緩和からの出口で、もし日銀に損失が発生すればの話だが。

経済学の知識が乏しい人間がこのような心配をするのは時間の無駄かもしれない。
しかしアメリカFRBも緩和の出口に向けて動き出しているし、日銀の現在の膨らみきったバランスシートを見ても、あと2〜3年もすれば否応なく大問題になる。

日本の政治は現在いろいろと忙しそうだが、もっとこの問題に真剣に取り組むべきだと思う。
posted by ヤス at 13:58| Comment(0) | 徒然なるままに
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。