2017年05月28日

上から目線

「上から目線」というのは、いつ頃から使われるようになった言葉なのだろう。

案外昔からあるような気もするし、しかし頻繁に使われるようになったのはこの10年くらいではないか、という感じもする。
しかしこれがちょっとネットで調べたくらいではわからない。
おおよそ2000年代以降の流行り言葉だろう、というのがネット上における共通見解のようである。

この「上から目線」は、敬語や丁寧語を操り、見えない社会階層によって各個人の立場が知らぬ間に規定される日本ならではの言葉であるように思われる。
一般に、日本では年齢が上であるとか、組織上の立場が上とか、社会的地位が上とか、いくつかの序列構造を参照して個人間の上下関係がかなり厳密に規定される。

少し難しいのが、年齢は下だが組織上は上司という人物、こういう場合部下であり年上である「私」としてはどのように振る舞うべきか。
ある程度家族的で親密な雰囲気の中小企業のようなケースでは、上司部下や年齢の上下関係なくタメ口を言い合うことができる。
しかしあんまり親密でない大組織で、しかも「年上の部下」がそれなりの職務経験を積んでいる場合、かつ上司の押しが弱い場合は、状況によっては「年上の部下」の方が「上から目線」になることがあり得る。

そのような現象はしばしば組織のアキレス腱になりかねないので、昔の日本では概ね年功序列が標準パターンとして定着していた。

会社組織などに上司部下の関係、いわゆる階層構造というのがあるのは、それがスムーズな意思決定を促し組織の効率性に大きく影響するからである。
大佐や少尉、軍曹などの階層がちゃんと決まっている軍隊と、みんな平等で「上司」のいない軍隊では、たぶん階層のある軍隊の方が強い。

日本の社会は組織効率上必要な階層構造がほぼ年齢によって決まるという自動的な仕組みで出来上がっており、これは東アジアの儒教圏ではだいたいそうなっているのだろう。

「上から目線」というのは、このように自動的に規定されている「見えない階層構造」を破壊する危険行為なのである。たぶん。
だから身の程知らずに偉そうにする輩は、非常に嫌われる。
また下々に位置する人間は、階層構造の確認のためにわざわざ謙譲語を使いへりくだってみせる。
このような位置付けの「上から目線」がこの10年、20年ほどの間に頻繁に使われるようになったのはなぜだろう。
あるいは社会のありようが年齢よりも実力本位のウエイトが大きくなり、従来の組織秩序維持の視点からは許容範囲を超えるようになった、ということなのだろうか。

しかしいずれにしても現代の日本では「上から目線」が嫌われる状況は依然として続いている。
その点をちゃんと覚えておかなきゃなあ、と改めて思った次第です。はい。
posted by ヤス at 10:29| Comment(2) | 徒然なるままに
この記事へのコメント
ついついコンサルタントは上からっぽくしゃべってしまう。
サービス業の意識が足りない?
Posted by aoko at 2017年05月30日 12:46
ごめんなさい。
Posted by ヤス at 2017年06月02日 09:12
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