2017年02月14日

ニコンの苦境

昨日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。
カメラメーカーのニコンが当初2016年6月発売の予定で開発中だった高級コンパクトデジタルカメラ「ニコンDL」シリーズの発売中止を決定したのである。
DLシリーズは、今カメラ業界で流行りの大型1インチセンサーを搭載し、ナノクリスタルコートなど贅沢なレンズ技術を活用、なおかつ35mm換算18-50mm広角ズーム、24-85mm標準ズーム、24-500mm高倍率ズームの3機種でラインナップを構成する意欲作であった。

ちょうど一年前の2016年2月にDLシリーズの新発売はアナウンスされ、その後2度の発売延期発表を経ての今回の発売中止。
中止理由は採算のめどが立たなくなったことという。
この間、価格コムとかアマゾンの販売サイトには「予約受付中」の表示とともにずっと掲載されており、もちろん価格も付いていた。
というか今朝の段階でも販売サイトには価格付きで掲載されたままで、一番安い標準版が7万2千円程度、広角版が9万4千円、高倍率ズーム版が10万円超。
きっと予約客の中には前金を払った人もいることだろう。

さらにニコンのサイトにDLの製品情報は今でも載ったままである。
ページの上の方に「発売中止」と、取って付けたように4文字だけ追加されていて、よほど急な決定だったのだろう、事態の混乱ぶりを表している。

時を同じくして経済ニュースではニコンの希望退職者募集が報じられ、千人の予定が1143人も応募があったという。
その割には昨日の段階ではニコンの株価は目立った値動きはなかったようである。
市場もその程度の苦境は織り込み済みということなのかもしれない。

さてニコンはこの先どうなるのだろうか、非常に心配だ。
以前にも書いたが、ニコンは1990年代に半導体露光装置、いわゆるステッパーの製造に進出して、当時は日の丸半導体メーカーの隆盛もあって同業界で世界シェアの過半を握った。
しかし韓国や中国、台湾の半導体産業が成長してくるに従って、従来の品質最重要視のコンセプトからスループット重視、量産性重視への転換に乗り遅れてオランダの新興企業にあっという間にシェアを奪われた。

ニコンの財務は、自己資本比率も50%以上、5400億円あり、東芝などと違ってまだまだ経営危機には遠い。
その東芝とか「先輩」のオリンパスみたいに巨額粉飾でも発覚しない限り全然安泰の状況ではある。
今回の前代未聞の発売中止決定も聖域なき経営改革の揺るぎない決意の表れと捉えれば、好感できない話でもないのかもしれない。

これはわたしの勝手な予想だが、おそらく今後のニコンは、現在ラインナップしている1〜3万円クラスの中途半端なコンパクトデジタルカメラの製品ラインも早晩整理することだろう。
あと不振が噂されている1インチセンサーレンズ交換カメラ「ニコン1」シリーズも整理対象とする気がする。
そして経営資源を相対的に市場強者の一眼レフに集中することだろう。
またステッパー事業も比較的好調の液晶用露光装置に集中するのかもしれない。
しかし一眼レフ市場は急速に縮小しており液晶市場も先が読めないので、早急に「次の柱」を用意する必要がある。

カメラ事業に関して言えば、今後必要なのは主力機のミラーレス化だと個人的には思う。
ニコンカメラの象徴であるところのガラスプリズムファインダーを捨て去ることができるかどうかが、生き残りの鍵であるように思うのだが、さて一体どうなるのだろう。
posted by ヤス at 09:16| Comment(2) | 徒然なるままに
この記事へのコメント
DL製品は予約してなかったんだ?
最近カメラが趣味って人じゃないと買わないものね。
スマホでパシャパシャきれいに撮れちゃう。
Posted by aoko at 2017年02月15日 12:48
数日前に600円でiPhoneのカメラアプリを買ったよ。
ニコンもiPhoneアプリを出したら買ってあげるのに。
Posted by ヤス at 2017年02月15日 13:37
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