2016年11月22日

計算順序問題

あれはわたしが高校生だった頃、今から30年以上も前の話。
「地理」のテストに出された問題のこと。
それはアルフレッド・ウェゲナーが初めて提唱し、その後プレートテクトニクス理論などの研究によって実証された説を問う問題であった。
まあ問題文の詳細は忘れたけれど。

わたしは自信満々に、

「大陸移動説」

と回答した。
そうしたらバツの答案が返ってきたので、わたしは地理を担当するその若い教師に抗議をした。

教師の返事は、
「授業では『大陸漂移説』と教えたはずである」
という予想外の衝撃的なものであった。

わたしは中学生の時以来、講談社のブルーバックスをいくつも愛読しており、当時、相対性理論や熱力学法則について、したり顔で友人と語り合っていたものである。
その興味の範囲の中には当然のことながら天文学や地球物理学も入っており、「大陸移動説」が外せないテーマであったことは言うまでもない。

ブルーバックスの一巻に「大陸は移動する」という本があって、わたしはその本に出て来る「アイソスタシー」や「プレートテクトニクス」などのカタカナ用語を憶えては、「ブルーバックス友だち」とわけも分からず語り合っていたはずである。

そんなわけであるから、地理のテストに出た冒頭の問題がよもや不正解になろうとは夢にも想像していなかった。


ところで今、ちまたでは小学校における算数の計算順序問題が話題となっている。

この問題に対する賛否のブログなどをいくつか読んだけれど、わたしとしてはこれはもう犯罪行為と言っても過言ではない暴挙である、という感想を得た。

この問題の背景には授業で教えたことこそが唯一の正解である、とする教師側の傲慢な思いが垣間見られる。

最近、「やや流行り」の言葉に「マウンティング」というのがある。
この計算順序の強要は、明らかに教師による生徒に対するマウンティングである。

教師側の計算順序に正否を設ける考え方の説明は、どれを読んでもわけが分からない。
これはおそらく、ある種の神学論争なのである。

教師側の説明の文章を読むと、

「神様は、世界を創造した初日の朝、靴下を右足からお履きになった。
しがって靴下は右足から履くのが唯一の正解である」

というたぐいの説明とほぼ同じレベルの論理構成としか思えない。

おそらく教師側はこの計算順序問題について、論理的には説明不可能だが教師だけがその真相を理解出来る、そういうことにしておきたいのである。
そうなると生徒側は、もう先生の教授に絶対服従するしか正解を得る手段がなくなる。
こうして教師による生徒への「マウンティングの構造」は完成する。

こういうのがはびこっているようでは、生徒の側はもう当分の間授業をボイコットして勝手にブルーバックスを読んで自習していた方が百倍ましなのではないか。
などと、大昔のことを思い出しながら少々立腹したのでした。
おしまい。
posted by ヤス at 12:25| Comment(0) | 徒然なるままに
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