2016年08月31日

財政問題について愚痴ってみる


日本の財政問題は、よく夫婦間の貸し借りに例えられる。
日本政府の借金、すなわちダンナの借金はヨメさんが貸しており他人からの借入に頼っていない。
したがって夫婦間の内輪の問題だから深刻になる必要はない、という。
また政府債務は1千兆円を超えるが、一方で政府には資産が600兆円ある。
したがって純債務は400兆円。
さらに銀行の購入した国債を緩和策に基づきせっせと日銀が再購入しており、国債の日銀保有残高は300兆円を超している。

日銀は政府が株式の55%を保有している、資本金1億円の株式会社だ。
つまり日銀は政府の子会社なので、日本政府と日銀それぞれの貸借対照表を「連結」すると、日銀が持っている国債300兆円は消滅する。
この状態での純債務はたったの100兆円、日本の財政問題は解決間近、というのが金融緩和派の主張であるようだ。

理屈は確かにそうなのだが、何かがおかしい。

まずこの純債務という考え方がくせ者だ。
政府資産600兆円には、道路とか国有林とか買い手の付かないだろう固定資産があり、金融資産にもアメリカ国債など政治的に売却処分の難しいものが含まれる。
そもそも政府資産は、普通の会社の保有資産のように気軽に売り買いが出来ないのだ。
ひとつには、財政問題を改善するほどの資産売却は100兆円単位の巨額になるので買い手がいないこと。
また金融資産の売却は市場価格に大きく影響するので一気に売れない。

そもそも政府というものは、会社のような自由な設立・消滅が想定されていない経済主体である。
だから下手な政府組織は倒産させて新しいのを作ればいい、という風にはならない。
会社組織と同列に貸借対照表の中身を評価するのは無理があるように思われるのである。

逆に言うと、政府の債務は100年200年かけて返済する方式でもいいということになる。

つまり実質的に売却不能な資産を勘定に入れて純債務を計算したりするのはあまり意味がない。
一方でよく言われるところの「プライマリーバランス(PB)の黒字化」こそが重要である。

PB黒字化で少しづつ政府債務が減少する状況を作るのが現実のゴール目標だ。

しかし日本では政治家も官僚組織も本気でPB黒字化を実現しようとしているようには、どうしても見えない。
金融緩和の麻薬が、問題の根本治癒を遅らせていると言わざるをえない。

日銀が輪転機を刷ってせっせと国債を抱え込むのは、潜在的なインフレリスクをどんどん貯めていることに他ならない。
それは需要増加による望ましいインフレではなくて、貨幣価値低下が主導する悪いインフレだ。

日本国民の金融資産は1500兆円あるらしいので、単純計算でも国債発行にはまだ余裕があるように見える。
が、この状況は永遠には続かないのは自明だ。

国内消化が限界に達した時に国債価格が暴落して悪性のインフレになり、その時点で政府債務価値も大幅に縮小して、めでたく財政問題は解決する。
それが現実的なシナリオのように思われる。

国債暴落と悪性インフレで国民の日本円資産は限りなく価値がなくなり、そのいわゆる「インフレ税」が財政問題解決に大きく貢献するのである。
考えてみると現在の発行済み国債は将来の税金徴収を約束する人質のようである。

そういう意味では、実は消費税を上げても下げても、いつか苛烈な実質的徴税が待っているのであんまり関係ないように思えて来る。

ということで、日本における借り手のダンナと貸し手のヨメは、実は離婚の出来ない不自由な夫婦で、その点がいいのか悪いのかはまあそのうち分かるのかなあ、と思った。
posted by ヤス at 14:40| Comment(0) | 徒然なるままに
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