2016年07月15日

デファイアント戦闘機

昨日Sタンクのことを書いていて、もうひとつヘンテコ兵器のことを思い出して、それを書かねば、と思ったので書く。

また中学時時代の話だが、今はとっくに絶版になっているハヤカワ文庫のノンフィクションで「空軍大戦略」という本を読んだことがあった。
第二次大戦中のいわゆるバトル・オブ・ブリテン、ヒトラーのドイツがフランスを降した後にイギリス上陸の下準備として航空撃滅戦を展開したが、その英独の戦いを描いた小説。

バトル・オブ・ブリテンはおおよそ1940年の7月から始まった戦闘であるらしいが、この航空戦にはたくさんの英独の戦闘機、爆撃機が動員された。
ドイツ側の主力戦闘機はBf109。
そしてエンジンが2発付いた2人乗りのBf110。

かたやイギリスの主力戦闘機はホーカー・ハリケーン、そしてスーパーマリン・スピットファイア。
さらに戦闘の最初の頃だけ、ポールトンポール社のデファイアント戦闘機もいた。

そうデファイアント戦闘機について書かねばならない。

イギリスの軍用機は、そのカタチにイギリス独特の味わいがある。
ドイツの軍用機が直線基調でいかにも金属的質感を全面に押し出しているのに対し、イギリスの軍用機は籐の椅子のようなというか、木製家具のような雰囲気を醸し出したのが多い。
実際、総ジュラルミン製の機体があたりまえの第二次大戦期中においても、イギリスの軍用機にはスチールフレームの上に布を張る方式の機体構造が多用された。
あるいはデ・ハビランド社の多用途木製機モスキートは総木製で、機体のデザインも全体はスマートだが主翼の平面形や丸っこい尾翼などディテールはかなり「イギリス的」だ。

デファイアントに話を戻す。

普通の戦闘機は、主翼や操縦席の前方に機関銃を固定搭載しているが、デファイアント戦闘機には前方固定機銃は一切ない。
その代わりに操縦席背面に7.7mm機銃4丁を装備した「銃塔」を装備している。
銃塔は全面ガラス張りで中に銃手が座っている。
そして電動ポンプで駆動される油圧装置で軽快にくるくる回転し、360度あらゆる方向に銃弾をぶっ放せるのだ。
ただし弾が尾翼に当たりそうな角度では機関銃が自動停止するし、まっすぐ前を打ちたい時も、やや上向きにしか指向出来ない。

こんな大掛かりな銃塔を背負っている関係でデファイアントは必要以上に重く出来上がっており、くるくる回る4連装銃塔も、俊敏に飛び回るドイツのBf109にはほとんど当たらなかったらしい。

そんなことで実戦参加から3ヶ月ほどでBf109の居ない夜間専用機に格下げになった。

そういえばイギリスの第二次大戦中のヘルメットは、全周につばの付いた江戸時代の大名行列の頭にかぶるやつみたいな妙なカタチをしている。
デファイアントはカタチだけでなくその装備や戦闘方法も、少々イカれた町の発明家が作ったような趣があるけれど、ああいう妙なカタチのヘルメットを被ったりイカれたコンセプトの戦闘機に乗って戦うイギリス兵の心境はどんなだったのだろうと少し心配になる。

ただ他国では絶対に採用しないような妙なカタチの兵器も常に大切に扱い、ピカピカに磨いて出撃していく、というのが貴族の国、イギリスの流儀なのかもしれないと思った。

ということで、昨日は、あるはずの回転砲塔が無い戦車の話、今日は無いはずの回転銃塔がある戦闘機のお話でした。
posted by ヤス at 11:01| Comment(0) | 徒然なるままに
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