2016年07月14日

Sタンクと中立国家

中学生の頃、ゼロ戦とか戦艦大和とかのミリタリーが好きになって、軍事関係の本を読んでいた。
中学校の同級生に戦車好きがいて、そいつと話していて戦車方面の知識不足を痛感し、戦車のミニ図鑑みたいな本を買った。
それで戦車の歴史や現代の戦車(といっても1980年頃)について勉強したのである。

そうしたら、妙なカタチの戦車が印象に残った。

スゥエーデンの「Strv.103」という主力戦車。
通称「Sタンク」と呼ばれる。
このSタンクには回転砲塔が無くて、戦車砲が車体に「じかに」固定されている。
砲の照準はキャタピラを左右逆回しにする超信地旋回で方角を定め油気圧式サスペンションで車体ごと傾けて砲の俯角を付ける。
また自動装填装置を装備して装填手が不要、操縦手が砲手を兼ねる。
まるで戦闘機のように操縦手が戦車を操って照準と発射を担当するので一人で操縦して一人で砲を撃つことも出来るのだ。

この戦車は待ち伏せ攻撃専用にデザインされていて、山深いスゥエーデンで物陰に隠れて敵の戦車(おそらくソ連軍)を狙い撃ち、撃ったら反撃されないうちに逃げる。
そのためにSタンクは後進も前進と同じスピードが出るようになっていて、通信手が操作する後進用の操縦席まである。


今はもう退役してしまったが、一時期このSタンクがスゥエーデンの国土を守っていた。
そしてその頃スゥエーデンはスイスと同様に永世中立国だった。

永世中立国というのは、昔は戦争をしない平和な国だと誤解していたが本来の意味は他のどの国とも軍事同盟をしない、他国の軍事行動に与しないという意味であるらしい。
現在のスゥエーデンは中立政策を放棄したらしいが、スイスは今でも中立を維持、一家に1丁アサルトライフルを持った国民皆兵の重武装国家である。

中立国には同盟国がないので外敵が侵入したら全部自前で撃退しないといけない。
スゥエーデンのSタンクは、中立を前提とした軍事方針のもとにいかに低コストで効果的な防衛力を実現するか考えた挙句に出されたひとつの回答である。

そういえば、Sタンクとほぼ同時代の戦車で同じようなコンセプトの戦車がもう一台あった。
自衛隊の74式戦車だ。
74式も、回転砲塔こそ装備しているが車体を自由に上下出来る油気圧式サスペンションを持って物陰に隠れて待ち伏せ攻撃する考え方はSタンクとほぼ同じ。
敵主力戦車を撃破可能な高威力の主砲に対して装甲は薄い。
このコンセプトは最新の10式戦車も同様だと言われている。

したがって、側面・後面装甲の薄い10式でイラクやシリア辺りに出陣したとすると、武装勢力の放つRPGロケット弾の餌食になりかねない。

ということは、10式の後継の戦車のコンセプトを見れば、日本の国防方針が引き続き専守防衛であるのか、あるいは同盟軍と連動して海外派兵することを多少なりとも考慮しているのか分かるということになる。



戦車の話はともかく、中立を守るというのは、他国を頼らないという点で国家の真の自律を保てるが、一方で相応のコストと犠牲の上に実現されるものである。

ところで先週どっかの国で政権党が学校に対して政治的中立を強要する事件が起こったそうだ。
国家間における「中立」の問題を参照するなら、学校における真の政治的中立はいかなる政治運動体からも影響を受けない、ということと解釈できる。
そういう意味では真に政治的中立の学校が不適切事例を特定政党に情報提供するのは論理不整合になるので、そのような呼びかけを考えた人物は相当にアタマがわるいと言わざるをえない。
posted by ヤス at 10:41| Comment(0) | 徒然なるままに
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