2016年06月24日

国民国家の行方

イギリスのEU離脱を問う国民投票の開票が進んでいる。
開票前の世論調査では僅差で残留派優勢とのことだったが、開票序盤はわずかながら離脱派が優勢になったりして、おかげで今朝の日経平均は値動きが挙動不審になっている。
投票前の勝手な推測では、イギリス人も土壇場では手堅い判断を下してEU残留で決着ではないかと思っていたのだが、現在の状況は個人的にはまったく予想外である。
日本時間の昼過ぎには結果が確定するというが、これは本当に目が離せなくなってきた。


21世紀を迎えて10数年経つが、現在の人類史的課題として国民国家の枠組みにかなりガタが来ていることがあると思う。

パナマ文書のリークでも話題になったが、一昔前と違って今の時代、お金は国境を越えて自由に動く。
世界を股にかける多国籍企業が節税のために租税回避地を求めてさまようのは極めて合理的な経済行為である。
国家成立以来、昔ながらの方法で営々と税金の取立てを続けてきた国家にとって、今のような状況は想定外だったろう。

また各国の「潜在成長率」なるものが問題になってきているが、今の時代特に先進諸国は軒並み人口増加が止まって高齢化が進み、その結果潜在成長率が必然として下がる。
中国も近いうちに人口減少に転じるというし、インドだっていつまでも人口増加は続かない。

アジアの拡大が停滞したら次はアフリカ大陸の時代なのだろうが、ヨーロッパ人によってまっすぐ引かれた直線の国境を見ると、アフリカ諸国が真の近代化を遂げるにはあの真っ直ぐの国境線を一回御破算にしないといけないんじゃないか、と思わなくもない。
真っ直ぐの国境線問題は中東も同様で、こちらはアフリカより一足早く国境線が溶けかかっており、それに伴って大量の難民も発生している。


ひるがえって日本であるが、今の日本人は日本という国のあり方について、今の状態が当たり前の定常状態と思っていないだろうか。
今の国家システムは天から降ってきて与えられた所与のもの、と思っていないか。

明治以降の150年間で日本は国家システムについてはつぎはぎだらけで近代化を遂げてきたわけだが、つぎはぎだらけについてはイギリスやアメリカなど欧米各国も同じようなものだろう。
しかしイギリス人やアメリカ人は国家システムがつぎはぎだらけで不完全なことをどこかで自覚しているのではないか、と思えてならない。

結局のところ国家というのは船底に小さい穴がいくつも空いたドロ舟であって、舟に乗っている人たちは漏れてくる水を掻き出しながら航海を続けているようなものではないか。
ただドロ舟日本丸は、船長以下一部のクルーたちが船底の穴の存在を秘匿し続け、すました顔で操船している。

乗客の一部は以前からうすうす穴の存在に気付いているが、今まで沈まなかったので穴は無いことにしている。

しかし穴は確実に空いており、浸水速度は排水速度を超えている。
穴を塞ぐか排水速度を上げるかしないと、このドロ舟は長く浮かんでいられないだろう、と思った。
posted by ヤス at 11:16| Comment(0) | 徒然なるままに
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