2016年04月23日

経営理念について

昔からよくある企業理念や経営方針の項目に、「お客様第一」というのがある。
会社によって表現は違い、顧客指向とか顧客視点とかと言ったりもする。
それで、最近は昔ほど顧客第一主義ということを言わなくなった気がするのである。

その理由は、会社の社会性が昔より重要視されるようになったことがあると思う。
それと、日本的な平和な株式持ち合い制度がだんだん崩れてきて、株主がどんどんモノを言うようになっていること。
だから顧客ならびに社会性に気を遣う以上に、株主の意向を大事にしないといけなくなった。
さらに言うと、ブラック企業批判が表に出て来て、また今後は生産年齢人口の急激な減少で従業員にも気を遣わないと必要な労働力が確保できない。

これらのことは言ってみれば当たり前のことで、特に株式上場しているような大きな会社はそのあたりのバランスを上手く取っていかないと経営が安定しない。

逆に言うと、今から30年とか40年前の高度成長期の頃は、株主にも従業員にも社会性にもさほど気を遣わず、ただ顧客の望むものを粛々と開発・生産・販売していれば会社は成長できた、そういう時代があった。

たぶん40年くらい昔の「顧客第一主義」は、当時はそれなりに新しい語感があったような気がする。
それ以前は世の中モノ不足で、作って店頭に並べれば売れるというような時代があって、そういう状況では顧客の利益より我が社の利益を優先しても商売が出来ただろう。
そういう商売のやり方が横行する中で公害問題が起きたりして、だんだん世の中の商売のベクトルがお客さんの方に向いてきた。

そういう「新しい時代」を背負って顧客第一主義は登場したのだろう。

昨年のフォルクスワーゲンや今回の三菱自動車の不正問題は、21世紀になってなお企業の側に「顧客第一主義」の時代以前の、バレない不正は不正ではない、というような感覚が依然健在であることを示しているように思われる。

三菱自動車の経営理念にも「大切なお客様と社会のために」云々ということが謳われていたらしい。
結果として、三菱自動車において経営理念はあまり機能しなかったようである。

このような事があった後に「顧客第一主義」という言葉を聞くと、これは機能しない経営理念のシンボルのようであるなあという感じがする。

経営理念がいくらかでも機能するためには、嘘をつかないとか人の足を引っ張らないとか、人間性の基礎に関わる組織の行動習性から作っていかないといけない。
そういう気がする。
posted by ヤス at 16:40| Comment(0) | 徒然なるままに
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