2016年03月31日

プロダクトアウトの勝利について

もう10年以上昔だったかもしれないが、ビジネス雑誌か何かに、新型自動車の開発インタビューみたいな記事があって読んだ記憶が、なぜだかかすかに残っている。
たぶんホンダのシビックの記事だったと思う。
その内容はざっくり言うと、今度のシビックは以前と変わって徹底的に顧客の意見を反映しました、みたいな感じの記事だった。

ホンダというのは一般的なイメージの上では、顧客の想像を超えるような新しい提案をする自動車メーカー、ということになっていると思う。
何よりホンダ自身がそういう創造的イメージをキープしたいと考えているだろう。
にも関わらず、顧客に何度もアンケート調査し、出てきた要望を徹底的に反映した製品づくりをしましたというその記事を読んで、何やら違和感を感じたためにそんなどうでもいい昔の記憶が脳みそに残っているのではないかと思った。

2、3時間ほど前にその記憶がぼんやり思い出されて、はてその時のシビックはいつ頃の何代目のシビックだったか、気になって検索してみた。
たぶん2000年デビューの7代目シビックであるように思われる。
ちょうど5ドアのシビックがなかなか売れなくなってきた頃で、7代目はそんなこともあってかインパネシフトで全後席ウォークスルーを実現するなど流行のミニバン的な機能性を持たせたモデル、のようである。

7代目はカーオブザイヤーも受賞して評価は高かったようであるが、直後にデビューしたニューモデル、フィットに押されてほとんど売れなくなるという悲劇的なクルマであったらしい。


マーケットインとプロダクトアウトというマーケティング用語がある。
7代目シビックは言わばマーケットインの考え方で市場の望みを実現した、ということになるのだろう。
ウィキペディアで「プロダクトアウト/マーケットイン」の項を見ると、日本人は戦後しばらくマーケットインに精を出してきたと書いてある。
マーケットインは日本人の得意技であるらしい。

しかしモノが足りない時代には、何が欲しいですかどれが欲しいですかと聞くことが出来たが、世の中が成熟化してもう欲しいものは無いという時代には、マーケットインは旗色が悪い。
近年のアップルのように、市場が想像もしていなかったタッチ操作オンリーでボタンの無い携帯電話を売り出したりするような、プロダクトアウト的革新企業が最終勝者になりがちだ。
少なくともウィキペディア的には、プロダクトアウトの勝利は確定したかのように書いてある。

だが世間のマーケットイン思想は非常に根強い。
顧客アンケートを集めることは各業界で今も盛んに行われており、それはそれなりに意味があるように思われる。
一方でプロダクトアウトには、メーカーの都合のみによって市場が要らない製品を開発してしまう「匂い」が濃厚にある。

たぶんプロダクトアウトやマーケットインとかいう言葉の響き自体に、適切な対立概念としてのバランス上問題がある。

しかしどのみち顧客にご要望を聞くだけの製品開発ではダメだし、顧客の生活実態を無視した企業都合の製品もダメなことは間違いない。

そういうことを書いていて、特に結論は出ていないが長くなったのでとりあえず今日はおしまい。



posted by ヤス at 15:08| Comment(0) | 徒然なるままに
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