2016年01月24日

無用の長物

世界の三大無用の長物というと、エジプトのピラミッドと中国の万里の長城、そして戦艦大和っていう。

これは、かつての帝国海軍の軍人自身が、停泊地に繋がれっぱなしで一向に出撃しない大和に対する自虐として言ったものらしい。

戦艦大和がまったくの無用の長物であったかどうかについてはやや議論がわかれるところではあるが、少なくとも歴史の結論が出ている現在から見ると、海上戦力としての大和はかなりの程度無用の長物であったと言える。

少し調べてみると、大和の建造予算は1.4億円ほどであったようである。
当時の国家予算が70〜80億円だったというからその2%くらいをかけて造ったことになる。
戦時中の軍事費は全国家予算の8割くらいを占めていたようなので、大和の建造費は巨額は巨額だが致命的というほどでもない気がする。


ところで三大無用の長物の残りの2つだが、こっちの方が大和より「無用度」は高かったようにも思える。
特にピラミッドは単なる権威の象徴であって何か具体的な効用があるように見えない。
また万里の長城にしても、あれだけで騎馬軍団の侵入は防げない。
個人的想像としては、長城は遊牧騎馬軍団に対する一種の分かりやすい境界の目印だったのではないかと思う。
長城を壊して侵入してきたらこっぴどく仕返しするぞ、ということを分かりやすく示すために、ひとつのシンボルとしてあったのではないか。


シンボルということでいえば、戦艦大和も実戦目的というより抑止目的のシンボリックな存在として造られたのだという話も聞く。
当時の艦隊決戦構想においては、雑魚キャラの駆逐艦や潜水艦でアメリカ艦隊を漸減して、最後の大トリに大和などの主力艦隊が出撃して留めを差すという筋書きだった。

あるいは、大和の18インチ巨砲にびびって早期の講和が成立する段取りになっていたはずで、そういう意味では大和は最初から戦うことを想定していない、無用の存在として停泊地に無事に鎮座していることが主要任務であったとも言える。


しかし考えてみると、世の中には車体重量が2トンを超えるロールスロイスとか、馬力が900馬力以上もあるフェラーリとか、値段が3千万円もするオーディオスピーカーとか、無駄に過剰なスペックを持つものが沢山ある。

あるいは日本のお城にそびえている天守閣は、戦時においても平時においてもまったく役に立つ用事がない。
ただ権威の象徴としてそびえているのがその主要任務である。

またウサインボルトが無駄に速く走ったりボディービルダーが労働使役に使う訳でもない筋肉を鍛えたり、そういうことを列挙していくときりがないということに気づく。

合理的理屈を超えた沢山の過剰さ、無用の長物の数々は、ひょっとして人類が生まれながらに持っている悲しい性なのではないか。
したがって大和のような無用に長大な存在は、これからもたびたび出現するのであろうかなあ、などと思った。

posted by ヤス at 15:42| Comment(0) | 徒然なるままに
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