2019年05月23日

最低賃金を上げる件について

相変わらず世の中は人手不足の状況が続いている。
そんな話はもう聞き飽きた感じであるが。
しかし人手不足にもかかわらず、実質賃金がなかなか上昇基調にならないところに今の日本経済の病みっぷりが現れている気がする。

いや、実はバイト時給もけっこう上がっているようではある。
求人広告企業のリクルートによる情報によると、日本の三大都市圏における募集時の平均時給は10年くらい前には930円くらいだったのが、2014年頃から上昇基調に入って今は1050円くらいになっているらしい。
実に1割以上のアップである。(直近1年くらいは停滞ぎみだが)

ただし上記の情報にはやや注意が必要である。
というのも、2014年は消費税が5%から8%に上がった年である。
また円安が進行して輸入インフレが生じた時期でもある。
だから最近ニュースでよく聞く「実質賃金」に関してはこの10年間、実はそれほど上がっていないとも思われる。

人手不足の一方でワーキングプアとかの問題もあって、最低賃金を上げようという議論が続いている。
わたしはこれまでは、最低賃金を上げ過ぎると企業がアルバイトの求人を絞って学生とかのバイト先がかえって無くなるのではないか、と考えていた。
時給が上がると「単純で楽な」仕事がどんどん減って気軽なバイト先がなくなる感じがしていた。

しかし最近実質的な外国人労働者受け入れ(建前としては研修生受け入れ)が大幅拡大されたこともあり状況が変わった。
外国人労働者受け入れによって「人手不足からの時給上昇圧力」はいくらか緩和された。

しかしバイトする側の立場からすると、徐々にとはいえ物価も確実に上がっているしもうすぐ消費税も上がる(かもしれない)し、このまま時給(実質でなく名目の時給)が上がらないとますます生活が苦しくなる。

世の中に生活苦の人が増えると日本全体の景気も底上げしない。
そうなるとやっぱり最低賃金は上げた方がいいのかもしれない。
企業サイドとしては、最低賃金は上げてほしくないのは当たり前だ。
特に中小零細企業は、今の最低賃金でぎりぎりなんとか採算を合わせている(もしくはもはや合っていない)ところも多いと思う。

昨年の日本の最低時給は全国平均で874円だったらしいが、これを1000円、1200円と上げると小さい企業では赤字になって倒産や廃業とかも増えるのだろう。
しかしその一方で、今まで人がやっていたことを機械化するとか、社内でやっていたことをアウトソーシングするとか、日本の企業の「人海戦術指向」が変わるきっかけになるかもしれない。

あるいは、世の中の飲食店では普通に注文取りとか料理提供とかを生身の人間がやっているが、ああいう人手をかけたサービスは、本当は客単価が2千円3千円以上とかの、ある程度の店でこそ可能なものだと思う。
客単価が1000円以下の店というのは価格帯でいえば「ファーストフード」なのであり、本当はセルフサービスでないと成立しない業態なのを今までは安いバイト時給と正社員のブラック労働で無理やり採算を合わせていたのに違いないのである。

最低時給が上がるとそんな問題ももはやごまかしが効かなくなっていくらか正常化するのではないか。

今朝のニュースで政府が最低時給を1000円にするというのが流れていたが、これは多分に参院選対策ということもあるだろうが、財界の反対も想像されるこのような方針を出したことは、まあ評価に値するのではないか、などと思ったりした。


posted by ヤス at 10:36| Comment(2) | 徒然なるままに