2019年05月18日

終身雇用が維持できない

最近日本企業の終身雇用をめぐるニュースをよく見る。
日本のそれなりに大きな会社は、これまで新卒一括で採用して原則定年まで雇用し続ける「終身雇用」方式を採ってきた。
ソニーとか、だいぶ前に新卒採用をやめて中途の随時採用に変えた会社もいくらかあるらしいが、それでも以前として終身雇用が日本の大企業の標準形ということのようである。

この場合「終身雇用」という表現があまり適当でないという意見もあったりする。
確かに雇用期間の終了はあくまで「定年」までであり、死ぬまで雇用するわけではない。
だから本当は「新卒採用・定年まで雇用」制度と呼ぶのが正しいと思われる。

そんなことはともかく、現在の日本ではすでに終身雇用が維持できなくなっているという話なのである。
終身雇用では、それなりにコンスタントに毎年一定数の新卒新人を採用する。
採用する一方で、定年に達する社員も一定数発生し、出ていく人と入っていく人がだいたい釣り合うようになるのが終身雇用の仕組み上のミソである。

しかしこれだと、業績不振でちょっと人を減らそうかという場合、クビキリなしだと採用を絞って人数を調整することになる。
そうなると組織の平均年齢が上がって会社がジジ臭くなる。
だからある程度の「若さ」を保つために、早期退職制度などで中堅・ベテランに辞めてもらうことになる。
ただ、これもよく言われる話だが、退職募集をかかけるとたいてい優秀なやつが応募してくる。
そうなると行き場のないポンコツの古株と右も左もわからない新人が増えて会社の体力は明らかに落ちるだろう。

つまり終身雇用だと人員の機動的な増減がちょっと難しいということがある。
終身雇用を採用している大企業でも、新分野進出などにあたってすでに専門知識を持ったベテランを中途で引き抜いてくることもあるだろう。
本来会社の採用はすべてその方式で行くのが合理的のはずで、営業が足りないなと思ったら営業スキルを持った人間を、管理業務が増えたらそっち方面の人材を採るとタイムリーなはずである。

だがこれまでの日本では(少なくとも大企業では)、新卒を採ってゼロから教育する方式が主流だった。
これは日本の経済がかつては一本調子で成長を続けてきたからであり、あるいは最近に至っても一本調子で成長の幻影がまだ残っているからだろう。

しかし実態的には、終身雇用はもうとっくの昔に終わっていたような気もする。
某銀行なんかでは、40歳代前半から次々と「出向」という名の島流しで人員が外に出ていっているっていうし、週刊誌には終身雇用を唱う大企業の「追い出し部屋」の惨状が記事に出ていたりする。

先にも書いた通り「終身」雇用という表現事態が元々マボロシだったのであり、だから今ニュースでやっている「終身雇用が維持できない」ニュースは「これでやっと終身雇用のタテマエを止められる」というのが企業の本音なのではないか、と思ったりした。










posted by ヤス at 07:28| Comment(2) | 徒然なるままに