2017年04月10日

働き方改革

先月末に「働き方改革」の実行計画がまとまったらしい。

働き方改革においては、特に「同一労働同一賃金」と「長時間労働の是正」が世間における論点の中心である。
政府の問題意識としては日本のホワイトカラーの生産性の低さをなんとかしたい、というのと長時間労働による過労死などの問題を撲滅したい、というのがあるようだ。

また最近は失業率がついに3%を切って2%台になったわけだが、これは労働需要が旺盛なためというよりは労働力人口の減少による供給源の要因の方が大きいと思われる。
決して景気が良くなって経済が活性化して失業率が低下しているわけではない。

ともかくも、労働生産性を上げて単位時間あたりの労働密度を高めること、それによって逼迫している労働供給を緩和する必要があることについては議論の余地がない。


政府としては労働生産性の改善について、それなりに危機感を持って取り組んでいるらしい。
他の先進各国に比べて業務のIT化による効率化が遅れていることの対策として、企業のIT導入に関する補助金制度を拡充するなどそれなりに対策に余念がない。

これらの周辺施策も含めた「働き方改革」は今後成果を上げていくことができるのだろうか。


最近の論調では、失業率もほとんど完全雇用レベルまで下がり経済界の労働需要も引き続き旺盛な様子を見せていることから、今後は長らく低迷していた実質賃金水準が上向くのでは、という期待があるようだ。

政府の働き方改革も、特に同一労働同一賃金については実質賃金上昇に効果を発揮すると期待する向きもあるだろう。

しかし仮に同一労働同一賃金が実現したとしても、これが直接に賃金上昇に結びつくというのはあまりにナイーブな考え方だと思う。
賃金水準が上がるためには、企業側の「賃金原資」が増える必要がある。
つまり儲かっていない企業では賃金を上げたくても上げられない。

今、パート時給が徐々に上がっていて、多くの企業では雇用を増やしたいけれど少ない人数で我慢している、という状況なのではないか。
少なくとも周辺の零細企業ではそういうところが多い。

日本ではここ何十年も産業構造が固定化しており、アメリカがそうであったように情報産業などの新産業が勃興して経済や雇用を牽引する、ということになっていない。

日本では2013年以降就業者数が約100万人増えたそうである。
しかしその8割は「女性の非正規労働者」の増加によるものである。
産業別では介護業界で約40万人増えている。

賃金水準が低い介護業界が直近の労働者数の増加に最も貢献している。
他の産業における労働需要は決して急拡大しているわけではない。
労働供給の逼迫は、若者の減少による「自然現象」と言える。

日本で長時間労働(というかサービス残業)が横行するのは、不足する賃金原資(つまり企業利益)を労働者の奉仕で相当程度カバーしている実態があるからだろう。

企業の利益が増えないのは、新しい産業構造がなかなか生まれないこと、本来市場から退出すべき企業がゾンビ化して存続していることなど、様々ある「日本的なしがらみ」が原因と思われる。

働き方改革の前にその部分に大ナタを振るわないと、結局のところ問題のしわ寄せは労働者が吸収する、ということになるような気がしていならない。
posted by ヤス at 16:56| Comment(0) | 徒然なるままに