2017年04月04日

てるみくらぶ

旅行会社の株式会社てるみくらぶが先月の3月27日に倒産したのは大きなニュースになった。
負債総額は151億円、うち旅行申込者の分が99億円だという。

わたしは旅行代理店の業界事情に疎いのでよく知らないのだが、てるみくらぶは1998年に母体となる旅行会社、アイ・トランスポート株式会社から分社したものらしい。
1998年といえばインターネットの黎明期、世界的にも航空チケットの予約を携帯電話から気軽にやる、という時代ではない。

アップルの初代iPhoneが発売されたのが2007年だった。
おそらく世の中的に旅行の段取りをネットで行うというのは、会社組織の場合はPC経由でやることもあったろうが、個人レベルでネット化が進んだのはiPhoneの爆発的普及以降ではないかと推測する。
iPhoneの販売台数が、2011年頃に累積で1億台を突破する感じであって、2012年に単年で1億台突破、2015年に単年2億台を突破している。
時を同じくしてサムスン他のライバル勢も大挙してスマートホンを販売しており、2010年前後にスマホが普及期を迎え、買い物や旅行予約などにも活用されるようになったのではなかったか。

てるみくらぶは、多分この世の中のスマホ普及の流れに乗って業容を拡大したのだろう。
しかしスマホの普及はてるみくらぶ的にはもろ刃の剣の側面があって、てるみくらぶの仕入れ元であるホテルや旅行会社も、閑散期の空室・空席のディスカウントセールをネット経由で直接できるようになって来た。
多分1990年代後半から2000年代の前半頃までは、ホテルや航空会社は直販の手段を持っていなかったので、空室・空席は旅行代理店に卸売処分するのが最も合理的だったのだろう。

そうやって考えてみると、ホテルや航空会社からのディスカウント仕入れによる格安旅行代理店のビジネスモデルは、早晩崩壊することは目に見えていたとも思われる。
まあ分かっていてもなかなか方針転換ができないのが事業経営の難しいところなのかもしれない。

今後はブロックチェーン技術の進展や人工知能の進化・普及によって、あるいは旅行代理店業界が、業界丸ごと消滅するのではないかという予感さえする。
そう考えると、てるみくらぶは、なまじ頑張って売上を拡大しながらの自転車操業を後1〜2年でも続けていれば今回よりさらに被害が拡大していたことは確実で、会社というのは倒産しないようにギリギリまで頑張ることも大切であるが、見切りの際の諦めの良さというのもまた重要であると思う。

新規に登場したビジネスモデルというのは、確実に儲かる期間は実に短く、多分今の時代ではせいぜい5年も持てばいい方じゃあないだろうか。

だから新規で立ち上げた商売は、3年とか5年ごとにガラッとモデルチェンジをする前提で組み立てる必要がある。
特に格安旅行代理業のような、時代のうねりの中から出てきたものは特にそうだろう。

まあ、会社というのは適当に倒産して次の新しいのが出てくるのが正しい資本主義経済のあり方であって、どこかの大企業のように公的支援を得てゾンビ化するよりは健全なことであるなあ、と思った。
posted by ヤス at 10:08| Comment(0) | 徒然なるままに