2017年01月07日

成長と拡大

トヨタ自動車のメキシコ工場の増産計画を受けてトランプ次期大統領がこれに注文を付け、トヨタ株が一時急落するというニュースがあった。
関連報道によると、どうもトランプは「増産計画」を「工場新設計画」と勘違いしたらしいとか、トヨタは当該の計画によって米国内の雇用はむしろ増加すると表明したり、いろいろたいへんらしい。

トランプとしては、勘違いであろうが何であろうが、あらゆる企業の活動に対して時々今回のような牽制球を投げておくことで、その行動をそれなりにコントロール出来ればそれでよいのだろう。
今回のトヨタへの牽制球には、アメリカ国内への投資は歓迎するが隣接する国の工場で作ってアメリカに輸出するというやり方は原則としてNGというメッセージが強くにじんでいる。
ましてや不法移民を大量に送り込むメキシコでの増産がオッケーなわけがない。

トランプは、たぶん少なくとも4年は大統領をすると思われるので、向こう4年間はこれまで全世界を席捲して来た「グローバル化」が、少し一服するのかもしれない。
人口増加が著しく、先進国に比べて経済成長率の高い国々に多国籍企業が投資を行うことで「グローバル化」はこれまで進んで来たのだと思うが、その流れが部分的に停滞することになるのかもしれない。

それでもやはり、企業サイドとしては成長率の高い新興国への投資を止めるわけにはいかないのだろう。
より「率」の良い案件に投資しようとするのは企業というものの本能だからしようがないのである。

しかしここでふと疑問に思うのは、世界中の国々が一通り成長して現在の先進国並みに成長率が鈍化したら、「率」に敏感な巨大企業群はいったいどうすればいいのだろうか。
あんまり正式なデータに当たっているわけではないが、たぶんあと50年くらいしたら今最後の「フロンティア」として残っているアフリカ、とりわけサハラ以南の大陸南部の国々もそれなりに豊かになっているような気がする。

50年が100年先になるのかもしれないが、しかしそう遠くない未来に、世界中の国がそれなりに豊かになって成長が止まるだろう。
そうなれば世界中から移民を集めて成長を続けていたアメリカも停滞期に入るのではなかろうか。
その辺りが、資本主義の抱える根本的問題であることはまず間違いない。
その問題に対する回答は、イーロン・マスクが火星を目指すみたいに宇宙を目指すのか、それとも別の何かなのか。

少し思うのは、これまでの20世紀的な意味での成長は、もっぱら「拡大」を意味していたような気がする、ということである。
現代は、人口も経済活動の規模も近代以前と比べたら飛躍的に「拡大」したけれど、それ以上に、病気で死ななくなったり気軽に海外旅行できたり、質的な変化が大きい。

これからの方向としては、数字上の拡大にあまりとらわれ過ぎない形の「成長」を定義することが必要なのは、たぶん間違いない、そう思うのである。
posted by ヤス at 13:04| Comment(2) | 徒然なるままに