2017年01月05日

売上か利益か

企業経営の考え方にはいろんな切り口があるが、その中のひとつに「売上重視」と「利益重視」のどっちで行くか、というのがあると思う。
よく知られた例で言えば、それまで売上重視の拡大主義で突っ走ってきた元小売業界最大手のダイエーに対し、イトーヨーカドーは利益重視の路線を取り、現在ではイオンと並んで業界盟主の座を維持している。

企業経営というのは、基本的には投資に対する利益を出来るだけたくさん獲得したいというのが本来の目的であろう。
そういう意味では、利益重視はある意味当たり前のことを言っているのに過ぎない、という風に見えなくもない。
そこで敢えて売上重視ということを言う経営者が多いのにはきっと理由がある。

少ない売上の中でたくさんの利益を生み出すことは、同額の利益を沢山の売上から生み出すより難易度が高いに違いない。
そのためには、独占とか参入障壁とか独自の技術とか、鍵になる「何か」が必要である。
あるいはもう少し地道に、トヨタ生産方式的なリーンな在庫管理・生産管理とか極限的なコストカットとか、とにかくより精緻にがんばっていろいろコントロールしていかないと無駄なコストで利益が減少してしまう。

わたしの勝手な観測によると、多くの中小零細企業の経営者はたいてい売上重視の人が多い。
売上に対してはわりかしハッキリとした目標を立てている人が多いが、利益に対しては必要な経費を払って借入の返済をして、それで最終的にキャッシュが不足にならなければそれでいい、というような感じだと思う。
非上場・同族企業の中小企業では、必要以上に利益を出しても税金を取られるだけでいいことがないということになるので、あまりガツガツと利益を追いかける、ということにはならないのはまあ当然なのだろう。

しかし最近は日本の人口も減少に転じ、何より若い人の数が減ってマーケットが縮小気味である。
あるいはこのところの消費低迷でそもそも赤字が続いている会社も多い。

そんな情勢の中では限られた売上の中から効率よく利益を確保したい、という考え方が日増しに強くなっているのではないかと推測する。
もしそういうマインドが強くなっているとしたら、いろんなコストを今まで以上に削ることが多くの会社で行われるようになる。
でも考えてみると、ある会社のコスト削減は「そのコスト」の販売元である会社の売上減少につながる。
あるいはコスト削減でいの一番に削減対象になるのは従業員の人件費だろう。
より多くの会社が売上重視から利益重視にシフトすると、社会全体では縮小均衡に陥ってますます利益を出すのが難しい状況になっていく。
これがいわゆるデフレという状況だろう。

売上重視の経営方針は少し大雑把なやり方のようなイメージが個人的にしていたのであるが、上記のような意味で、社会全体の循環ということを考えるとそんなに悪いものではないと思える。
今問題になっている資本の一部への集中とか格差問題とかを考えると、売上偏重主義もまあまあありないんじゃないか、そんなことを考えたりした。
posted by ヤス at 11:06| Comment(0) | 徒然なるままに