2016年12月10日

円安待望に異議

立場が違うと利害も変わって、行動の方向も変わることになる。
それを感じるのがここ数年の円相場についてである。

最近、円ドル相場が円安に振れていて、それにつれて株価が上がっている。
そのことは、まあとりあえず良いことに見える。
しかしそれは輸出主体の上場企業にとって良い、ということで、立場を変えて消費者から見ると円安はあまり良いことがない。

まず輸入物価が上がって実質賃金が下がる。
実際、2014年4月の消費税率アップ以降国内の個人消費は一貫して低迷を続けている。
2010〜2011年頃の1ドル80円前後の相場が2015年に120円を超えるまで、円相場は長期的に円安で推移してきた。
その間日経平均株価もほぼ平行して上昇を続けたが、個人消費の方は2014年初頭をピークに上昇の気配がない。
これは、円安の効果がもっぱら輸出企業の利益に化けていて国内個人に還元されていないからだろう。
輸出企業が多くを占める上場企業は給与水準を上げてはいるが、国内活動主体の中小企業では利益が増えていないので給料が上がらない。

円安になると、確かに大企業の利益が増えその結果政府の税収が増えて、福祉サービスなどの財源に充てられて国民に再配分される可能性がある。
しかし個人消費の推移を見るに、再配分は十分ではないようである。

不思議なのは、報道番組などでも円高待望論がほとんど聞こえて来ないことである。
一般消費者の立場に立てば、当然円高の方が嬉しいはずなのに。
円高により輸入物価が下がって食品もガソリンも、多くの消費財が下がって暮らしぶりが確実に楽になるのは間違いない。
確かに輸出企業の経営は苦しくなってたいへんだろうが、円安で国内の実質賃金が上がっていない現状を見ると、円高になったからと言って日本全体が沈没に向かうとは思えない。

円安円高による利害は立場によって反対になるというだけで、しかし円安には強い政治的意思が働くにもかかわらず円高方向にそれが働かないのは、本当に不思議だ。

本来なら一般消費者の方が選挙票数としては圧倒的に多数派のはずであるのに。

ということで、最近週刊誌とかいろいろなところで日経平均は来春2万円を超えるとかいや3万円は固いとか言っているがまったく喜べない。
誰がなんと言おうと消費者のわたしとしては、多少日経平均が下がろうが円高の方が絶対的に嬉しい。

と、最近の急激な円安・株高の状況を見ながら思ってしまうのであった。
posted by ヤス at 07:42| Comment(0) | 徒然なるままに