2016年11月04日

定住が先か農耕が先か

女性という生き物は、家とか住居が好きである。
そういう統計データが手元にあるわけではないが、これまでの人生経験を通じてそのように感じる。
わたし個人としてはオートバイにテントと寝袋を積んで諸国を流浪する、というようなライフスタイルがひとつの理想であるが、残念ながら今はオートバイが無い。
というかいちおう働いて、いくばくかの金銭を稼がないことには日々の生命維持に支障をきたす。
だからしぶしぶながら定住生活を行なっているところである。
流浪生活と定住生活の嗜好に関して男女の性差があるのかどうか知らないが、数万年前の人類の狩猟採集時代においては、体力のある男性が原野に獣を追いかけ、非力な女性は植物の実や種の採集を行いつつ住居を守るというのが基本のパターンとしてあったと思われる。
女と家で嫁と書くくらいで、少なくとも世間的な観念上は女性の方が住居との結びつきが濃い、という風に捉えられている節がある。

また平安時代の「通い婚」でも通うのはもっぱら男の方である。
女は家を守り、男は流浪する、そういう原初的な記憶は今も残っているのだろうか。

もちろん現代社会においてはそういう固定観念は通用しない。
人類の大半は狩猟採集生活を卒業してかなりになる。
また、ライフル銃と四輪駆動車を駆使する現代の狩猟なら女性の非力は問題にならない。

人類は文明の力で肉体的な可能性の壁を打ち破った。
そのような文明の力こそが「人類性」というものであろう。

ところで、狩猟採集生活を営んでいた人類が本格的な農耕を開始したのは1万年前くらいと言われている。
農耕生活による食料の安定供給体制が、やがて定住のライフスタイルを定着させ社会組織の複雑化や文明の急速な発達を促した、そのように学校で習った憶えがある。

しかし最近の説にはそれに逆行するものがあって、定住生活が先にあり、定住生活が定着したのちに農耕が始まったというのである。

現生人類であるホモ・サピエンスは、5万年前くらいにアフリカからユーラシア大陸に拡散していったと言われている。
いわゆる「グレート・ジャーニー」だ。
常夏のアフリカと違って、ある程度の高緯度地帯には季節の変化がある。
夏から秋にかけては植物性の食料源が豊富にあっても、冬が寒いと植物には頼れない。
逆に秋の間にたっぷり餌を食べた大型の獣が冬の間はご馳走になる。
ただし、狩猟による食料確保は非常に不安定なので飢餓に対する備えが必要だ。
ひとつの回答は木の実や種子類を保存して冬の間の備えにすること。

しかし、食料貯蔵庫があるとそれまでのように気ままな移動生活は出来なくなる。
貯蔵庫を中心とした「定住生活」を確立しないといけない。

そして、定住生活がある程度軌道に乗った後、次のステップとして安定的な植物性の食料源確保のための新技術として栽培植物の育成が始まった。

そういう説が出て来ているらしいけれど、なるほどと思う。

農耕と定住生活の関係は、どちらが原因でどちらが結果だったのだろう。
しかしこれは人類における直立二足歩行と脳の大容量化は二足歩行が先だった、という話と似て、人間の因果関係に対する固定観念は当てにならない、という感じがする。
posted by ヤス at 10:54| Comment(0) | 徒然なるままに