2016年10月27日

認定の意味について

先日過労死事件のあった電通が、数年前から働きやすい会社として厚生労働省の「認定」を受けていたのがニュースで流れている。
関西支社が2014年に労基署から違法な時間外労働で是正勧告を受けていたにも関わらず、電通は2015年に厚労省の「次世代育成支援対策推進法」の3回目の認定を受けていたらしい。

ニュースを目にして、この手の国家による「認定」にはどれほどの意味があるのだろう、と少し思った。

厚労省に限らず、経産省などでも個別の企業に対してある認定を与え、認定のある企業に各種の支援策を用意するスキームはかなり一般的である。
だから巷にはいろいろな「認定企業」が存在する。
わたしも時々、仕事の関係で「認定企業」に関わることが少なからずある。

多くの認定は、というかたぶんほぼすべての認定は書類審査によって行われる。
上記の厚労省の認定だと、過去に重大な法令違反がなく従業員の子育て支援に関する行動計画を策定・提出することによって認定判断が行われるらしい。

このような各種の「認定」には、それなりに一定の効果があるのだろう。
今回の電通の認定では、認定企業に対する支援策として割増償却による税制優遇措置があるという。
つまりいくらか税金が安く出来る、実利上のメリットもあったわけだ。
電通が税制優遇措置を使ったどうかは知らない。
しかし経済的なメリットがあるので、営利企業としては認定に向けた動機づけが働く。
そして認定のためには労働問題を回避せねばならず、結果として認定企業の労働環境がいくらか改善に向かう、そういうメカニズムが想像される。

今回、関西支社が労基署の勧告を受けていたにも関わらず電通が上記の認定を受けられたのは、勧告に対する改善状況が報告済みだったため、「重大な法令違反」には当たらないという判断になったのだという。


しかしいくらなんでも厚労省はのんびりし過ぎではないか。
このまま放置すれば、次世代なんとか認定はどんな企業でも大丈夫な「ざる認定」だと認めることにならないか。

電通という会社は巨大企業でたくさんの部署でたくさんの人間が働いている。
だからそれなりに健全な企業運営がなされていたとしても、ある一定の割合で深刻な労働問題が発生しうるのだ、という一般論的な考え方も出来なくはない。
今回の関西支社の問題やこの間の東京本社の過労死自殺は巨大組織におけるレアケースだから問題なし、という考え方もあるのかもしれない。

しかし巨大企業でも、組織のすみずみまで問題が無いこと、また長期間にわたって問題がないからこそ「認定企業」のありがたみが生じる、というものだろう。

こういう問題は他のたくさんの「認定」にも言えるケースがあるのではないか、と思ったりした。
posted by ヤス at 12:13| Comment(0) | 徒然なるままに