2016年10月05日

長くやると見えてくる

YouTubeで先日行われたいわて国体の水泳競技を見ていた時に思った。

わたしは大昔、競泳をやっていて種目はいちおうバタフライだった。
だから、一流スイマーのバタフライの泳ぎがやや気になる。
マイケル・フェルプスとか、日本の瀬戸大也や坂井聖人の泳ぎを見ていると本当に気持ちいい。

バタフライの泳ぎのキモは、タイミングのいいキックにある、と思う。
バタフライのキックは腕を一回かく間に2回打つ。
昔のわたしのヘボ泳ぎでは、足先が水面から高く上がり過ぎて水しぶきだけ無駄に発生していたものだが、一流選手のキックは水中で無駄なく打っていて、足が上がる時と打ち下ろす時の両方でぐいっと前に進むのが見ていて分かる。

一流選手の泳ぎを見ながらスイスイ進んで気持ちいいなあと思っていて、少し昔の映画でモーツァルトを描いた「アマデウス」というのがあったけれど、あの映画でモーツァルトの凄さに驚く宮廷音楽家のサリエリのことを少し思い出した。

サリエリは才能的には凡人だったけれど、長く音楽家をやっていたのでモーツァルトの天才ぶりを肌身に沁みて感じることが出来た。

一流選手のバタフライのキック見たさにYouTubeを繰り返し繰り返し観ているのは、やや変態的な趣味である気がしないでもない。
何年間も水泳競技を経験した人とか、コーチとかで選手が泳いでいるのを観察し続けてきた人ならば、他人の泳ぎを見ていいキックだなあとか下手くそだなとか感じることが出来るだろう。
逆に競泳に興味のない人では、泳ぎの細かな部分まで感じ取れないに違いない。

よくオリンピックとかで解説の人が、「今日は○○選手、動きが重いですね」とか「今日はキレがありますね」とか言う場面が有るが、専門外のスポーツでそういう解説を聞いても、どこがどう重いのかキレがあるのか、分からないことが多い。

スポーツの世界では、それなりの期間に渡って選手の動きの観察を続けていると、細かい動きのニュアンスというのが感じ取れるようになる。
あるいはスポーツ以外でも、長くたくさん経験してきたことについては細かいところまで良く見えるようになる。
築地市場の仲卸の目利きはいいマグロを一発で見分けるのかもしれず、長く組織を率いてきた会社の上司は辞めそうな部下の態度に敏感に反応したりするかもしれない。
ベテラン芸能リポーターは離婚しそうな芸能人カップルが事前に「見え」たりするのではないか。

たとえプレイヤーとしてトップレベルまで上り詰めることが出来なかったとしても、長く経験してきた分野においては、それなりに細かい部分を「感じ取る」ことが出来て、そうなるとそれはそれでけっこう楽しめたりする。

だから元田舎のヘボスイマーでも、一流選手の泳ぎを見て他の大多数の人より深く楽しめて、それはそれで良かったのではないか、となんとなく思ったのだった。
posted by ヤス at 15:26| Comment(0) | 徒然なるままに