2016年09月26日

今後の中小企業施策について

最近また「労働生産性の向上」の必要性についてのニュースをよく目にする気がする。
政府の「一億総活躍」の関係の施策で、「働き方改革」なるものが前に進んでいることもあるのだろう。

先日、経済産業省の次年度の政策方針について聞く機会があったのだが、経産省の施策も労働生産性の向上が中心課題となっているようである。
「中小企業等経営強化法」という法律が今年夏に施行され、この法律では中小企業ならびにそれらのハブとなる地域の中堅企業に対して、労働生産性の向上をテーマに各種の支援が行われるらしい。

そして国内主要産業分野のそれぞれについて、担当省庁が「事業分野別指針」というのを作っておおよその方向を指し示し、国内の中小企業(等)は指針に基づいて各種の生産性向上対策を行う。

生産性向上対策は、主には機械設備の導入やIT化などの設備投資のことを指す考えであるらしい。
だから支援策も設備投資減税や融資関係のメニューが用意されているようだ。


事業分野別指針の中身は、製造業では従業員の多能工化や改善活動の推進、原価管理や工程管理、知財戦略、営業活動の改善など。
小売卸業は店舗別損益管理など管理の強化、IT化、顧客のニーズ情報活用、人材育成など。
外食・中食産業は営業活動、コスト管理、経営管理、人材、IT化のメニューが並んでいる。

これらの指針は本屋に行けばすでに経営コーナーにいくらでも並んでいるような普通の項目ばかりだ。
下手をすると高校の社会科の教科書にも載っているのではないかというようなレベルであり、このような指針づくりに各省庁の労働力が割かれたことにまず驚く。
各省庁こそが自分たちの労働投入をもっと吟味して生産性向上を考えた方がいいのではないか、と思ってしまった。

さらに言うと経産省の説明は上記の項目がほとんどすべてで重要なものが入っていない気がする。
それは国際競争力の視点である。
内容の一部に中国との労働コスト格差縮小についての観察や円安による外国人観光客の増加が入っているのを見つけたが、それ以外には国際的な問題について言及されていない。

経産省は外国人観光客誘致と国内製造業保護の観点から円安が望ましいと考えているらしいが、仮に今1ドル100円の円相場が80円になったら、国際的な日本の労働生産性指標は20%上昇する。
輸入コストも下がって実質賃金上昇に寄与し、国内消費にプラスの影響があるだろう。

しかし施策方針は、現状の産業構造のまま年率2%とかの漸進的改善のみを目指しているようである。
そもそも日本の労働生産性低下は、国際比較でアメリカとかドイツとかより低いのをなんとかしなきゃという話だと思うのだが、具体的施策がそもそもの問題意識とまったく無関係に策定されているのはどういうことなのか。

と、この先が少し心配になったわけであるが、まあ前向きに捉えるならば、世の中の中小企業は今までの業務を普通にがんばるだけで各種の支援策を受けられる可能性が高まったということらしいので、今後出て来るだろう支援策に注目することにする。
posted by ヤス at 14:04| Comment(0) | 徒然なるままに