2016年09月18日

直立二足歩行のナゾ

人間と他の動物を分ける特徴、もっと言えば猿と人間の違いでもっとも重要なことは何か。
その候補として以下の三つが考えられる。

チンパンジーの3倍の脳容量
道具を製作したり操作可能な器用な前足(というか手)
直立二足歩行

上の三つでもっとも人間を人間たらしめているのは、大容量の脳とそれがもたらす高度な知性であるように思われる。
実際、優れた知性のおかげで人間は複雑な言語を使いこなし、抽象思考を行い高度な物質文明を築き上げてきた。
人間とチンパンジーはDNA的には99%同じだというけれど、両者の知性の差がもたらす生活様式の違いはかなり隔絶している。

しかし、700万年前に人類の祖先が人類進化の方向に進化系統樹の分岐点を別れた時に獲得した最初の特徴は、直立二足歩行であったそうである。
この時代の化石からは、脳容量はほぼチンパンジー並みだが骨盤の構造や首の骨が頭骨に接続する位置関係から、「直立二足歩行するチンパンジー」的な原始人類の姿が想像される。

鳥の仲間ではダチョウやヤンバルクイナなど二本足で歩いたり走ったりするものがあるが、哺乳類で日常的に二足歩行する生き物は人間だけであるという。
700万年前の少し前の時期に、猿の仲間で時々背伸びをしたり二本足でヨチヨチ歩いたりするのがいて、それが当時の環境では生存競争上有利に働いてやがて二足歩行が定着したということか。
では直立二足歩行の何がそんなに有利であったのか。
というのはよく分からない。
ただし結果論的には、二足歩行によって人間の前足(というか手)は歩行機能の役割から外れて他の用事に使えることになった。
それで人類は石器を作ったり槍などの武器を操ったりするようになり、そのような手先の器用さの獲得と脳の大容量化が相互に作用しながら現在の技術・知性の水準に達したと考えられる。

しかし手先の器用さと脳の大容量化の土台となった直立二足歩行の最初のきっかけはやっぱり分からない。

ところで、人間の身体的特徴の中でもうひとつ他の哺乳類にないことがあって、それは「無毛」だそうだ。
まあ人間の中にも妙に胸毛の濃い人とかいるし、頭髪やヒゲはそこそこ立派に生える。
しかし体毛に関しては、チンパンジーなどと比べればほぼ無毛といってよいレベルだろう。
しかしなぜ無毛なのか。
諸説あるようだが、ひとつの考え方として発汗機能効率化との関連があるという。

人間は運動して体温が上がったら身体中から汗を出して温度を下げる。
この時に体毛が濃いと上手く汗が蒸発しないそうだ。
だから馬などの特殊例を除いて毛の濃い動物は身体から汗をかかない。

つまり人類の無毛の理由は効率的に汗をかくため、というのである。
効率的に汗をかくというのは、長時間運動する、すなわち長時間走るために必要だったのではないかという考えである。
つまり直立二足歩行で長時間走ることが可能になり、狩猟で大型野生動物を追い詰めることが出来るようになった。
大型野生動物を安定的に狩ることが出来るようになって高カロリー高栄養価の肉食が常態化し、エネルギー消費の大きい脳みそを大容量化することが出来るようになったという。

この説が本当なら、現在のマラソンブームは人類進化的原点回帰であって、マンモスを追いかけていた時代の原始記憶が現代人をマラソンに駆り立てているのかもしれない、と思った。
posted by ヤス at 07:22| Comment(0) | 徒然なるままに