2016年09月05日

ホモ・サピエンスのアドバンテージ

昨日に続き国立科学博物館・海部博士の「日本人はどこから来たのか?」の感想続き。

日本人の起源について考える時ひとつポイントになるのが、日本列島には現生人類=ホモ・サピエンス以前の旧人や原人は居たのかどうか、というのがある。
アジア大陸において、中国では北京原人、インドネシア・ジャワ島からはジャワ原人の骨化石が出てきている。
北京原人はおよそ70万年前、ジャワ原人は170〜180万年前のものらしい。
さらに原人から時代が下って35万年前から2万5千年前くらいまで、ヨーロッパから中東、中央アジアにわたって一応旧人に分類されるネアンデルタール人が居た。

出アフリカを中心とする現生人類単一起源説では、原人も旧人も人類の祖先ではないことになったいる。
原人も旧人も数十万年〜数百万年前に分岐した人類の親戚でその後絶滅している。

さて、ホモ・サピエンスが日本列島に推定3万8千年前頃に到来したとすると、その遥か以前から大陸に原人や旧人はは居たわけで、日本列島に上陸する時間的猶予はたっぷりあったはずだ。

しかしどうやら日本列島には原人・旧人の生活した痕跡は見つかっていない。
2000年に話題になった「旧石器時代遺跡捏造事件」の以前は、日本にも旧人が居たと考えられていたのが、あの事件でそれがぜんぶ白紙になった。

たぶん日本列島に原人・旧人は居なかったのだと思う。
それは、日本列島が海面高度がかなり下がっていた数万年前の氷期においても、津軽海峡や対馬海峡などがずっと海のままで完全な大陸地続きになったことが無かったからである。

どうも海を越えて新天地を求める能力は現生人類の専売特許のようで、宗教儀式などの痕跡を残しかなり奥深い精神世界を構築したと考えられているネアンデルタール人でも、現生人類のような航海術はついに身に付けなかったらしい。
また全体にずんぐりした体型で寒冷地適応したネアンデルタール人であるが、シベリア北部や北極圏の極寒には耐えられなかったようで、昔は陸続きだったアメリカ大陸にも進出していない。

逆に言うと、現生人類=ホモ・サピエンスは100km超の距離を航海する技術と北極圏の寒さに対応できる衣服や住居の技術を持っていたことがネアンデルタール人に対するアドバンテージであったのだろう。

アフリカからユーラシア大陸に進出した人類は、ジャワ原人が越えられなかった海路を渡ってオーストラリアに到り、寒さに耐える技術を磨きながらシベリアを北上して1万5千年前についにアラスカからアメリカ大陸に進出した。

日本列島には、航海術を身に付けた一派が対馬方面、沖縄方面から海を越えて列島に移住、また大陸を北へ向かっていた集団の一部がカラフト経由で北海道にやって来たと想像されるのである。

ということで現生人類の特徴が、寒さに耐える技術、そして大洋を越える航海術、このふたつなのだと想像すると、なんだか非常に感慨深いなあと思った。
posted by ヤス at 14:56| Comment(0) | 徒然なるままに