2016年08月18日

我々の肉体はスカスカだという話

物質の基本構成素粒子であるクォークに続いて、ニュートリノにおける「CP対称性の破れ」が実験で検出されたという。
これは日本の研究チームが茨城県東海村にある巨大な加速装置から、295キロメートル離れた岐阜県神岡鉱山のスーパーカミオカンデに向けてニュートリノのビームを飛ばす実験を通じて得られた成果であり、ノーベル賞級の業績らしい。

という報道内容を読んだわけだがいったい何がそんなにすごいのか、よく分からない。
ビッグバンで宇宙が誕生した時、そこにはまったく同じ量の「物質」と「反物質」が存在していて、「物質」と「反物質」はぶつかって反応すると消滅してエネルギーに変わる。
そういう話を聞いたことがある。
しかし「物質」と「反物質」はまったく同量あるので全部反応すると両方とも消滅して宇宙には何も残らない。
しかし実際にはこの宇宙には「物質」の方がたくさん残っている。
それはなぜか?という疑問に対する答えが、CP対称性の破れで説明できる、というお話であるらしい。
まあどっちみちよく分からない。

CP対称性の「CP」とは。
「C」は「Charge」で電気のプラスマイナス。
「P」はちょっと説明がむずかしい。
「パリティ」のPで日本語では「位相」。
人間の左手と右手は左右逆像の関係になっており、これが「位相が逆」の正体である。
素粒子の場合の位相は、進行方向に対するスピンが右回転か左回転か、という話になるらしい。
ちなみに「物質」の世界のニュートリノは左巻きで、反ニュートリノは右巻きであるという。

従来の考え方では「物質」と「反物質」はまったく同じ量があるので、なぜこの宇宙に「物質」だけがたくさんあるのか説明できなかったわけだが、今回めでたくCP対称性の破れが証明されて宇宙の存在が無事に説明できそうだ、ということだ。


まあそういう超越的な話はともかく、わたしがいつも興味深く思うのは、ニュートリノなどの基本素粒子のサイズを考えるとき、この宇宙が恐ろしくスカスカである、という話の方だ。

物質をどんどん分割すると原子の域に達する。
原子はさらに原子核とその周りを回る電子で出来ている。
原子の大きさを野球場くらいの大きさに拡大した場合、原子核の大きさは野球場の真ん中に置かれたパチンコ玉か一円玉くらいのスケール感。
電子はさらに原子核の10万分の1くらいの質量しかない小さなつぶ。
で、その原子核と電子の間の空間はまったくの真空であり「虚空」である。

我々が何か物を持ち上げる時とか、あれは実は物に「直に」接触して持ち上げているというよりは、電気的な反発で空中浮揚的に力が作用しているのである。

スカスカの原子で出来た我々の肉体の分子は突き詰めるとやはりスカスカで、持ち上げる物の方もスカスカ。
我々は、自分の肉体はぎゅっと身が詰まっているつもりになっているが、本当はほとんど「虚空」の塊なのだ。
そういう意味で、我々の肉体はコンピューターの中のデジタルデータと大差ない。

だからどうした、という話だが、クォークやニュートリノの話を聞くとスカスカで手応えのない透明な自分の身体をイメージする、今日この頃である。
posted by ヤス at 14:44| Comment(0) | 徒然なるままに