2016年08月16日

最低賃金引き上げで所得は増えない

最低賃金が24円引き上げられることが決まったらしい。
岡山県の最低賃金をみると現在735円になっているので、たぶん10月から759円になるのだろう。周辺にパートの最低時給を750円スタートにしている会社がちらほらあると思うが、それらの企業は760円スタートとかにしないといけない。

さて、問題はこれによって時給労働者の所得が増えるかどうか、である。
現在の最低時給がすでに新しい最低賃金を上回っている会社は時給を上げる必要はないわけだ。
しかし若者が減って労働者の供給が逼迫しており、今まで高い時給を払っていた企業は、今回時給引き上げを見送るとそのアドバンテージが少し減ることになり採用条件がやや弱体化する。
というように、最低賃金の上昇はドミノ倒し式に全体に波及することが考えられる。

また、最低時給を引き上げるとその上の水準で働いている人の時給もそのまま、というわけにはなかなかいかないだろう。

だから法定の最低賃金が上がることによって、けっこうまんべんなく各社・各労働者の時給単価の上昇が期待される。
しかも今回の上げ幅は24円と過去にない大幅アップなので、これまでにない影響があるのかもしれない。

しかし、である。
問題は企業の方の支払い原資の方だ。
この数年、日本国内の企業経済はたいへん好調で記録的な利益水準に達しており、税収も大幅に増えたとされる。
今年に入ってからは円高傾向に振れてややその勢いが削がれたようでもあるが、全体としてはまずまずの水準にとどまっているはずだ。
だから理屈の上では時給上昇分の支払い原資はちゃんとあるはずで、政府の方もそのように期待しているのだろう。
だが企業が人件費の時間単価が上がった分を単純に費用として上積みするかというと、おそらくそうはしない。

生産性の改善や外注先の変更などあらゆる方法を考えて増加コストの吸収を考えるだろう。
上場企業ならなおさらそうだ。
その結果、全体の時給労働者の所得が既存の水準に維持されて、その分労働時間が減ることになる。

さらに主婦労働者の場合、103万円の厚い壁というのもある。
だから最低賃金の引き上げにより労働者の時給単価は上がるかもしれないが、最終的な所得は従来並に抑えられる方向で強いバイアスがかかるだろう。

それよりも悪いシナリオとして、このところの円高も手伝って製造業の国内空洞化が進行する可能性がある。
政府は近い将来に時給を1000円まで上げたいとのことだが、空洞化の心配はしていないのだろうか。
もし今の産業構造のまま最低賃金1000円を実現するなら1ドル140円以上の円安水準とセットでないと難しいだろう。

ということで、結論は最低賃金の引き上げで国内労働者の所得は増えない。
所得を増やす唯一の方法は、企業が付加価値の高い事業を展開して今まで以上の利益を上げること、そこに尽きる。

posted by ヤス at 14:05| Comment(0) | 徒然なるままに