2016年08月01日

犯罪防止と境目問題

さて、都知事選も終わって初の女性東京都知事が誕生した。
今回の都知事選は国政政党における与野党が、はからずも両方とも候補者擁立に失敗するというところからスタートした。
与党は公式候補と「非公式」の小池候補が立って分裂し、野党側は統一候補を立てるには立てたが、見当はずれの人物を推した時点で選挙戦はすでに終わっていた。
ということで、少なくとも国政政党による東京都政支配の構図がやや崩れたとかいう点において、今回の選挙はまずまず意味があったようである。



都知事選についての感想はとりあえず置いておく。
それより先日の障害者殺害の事件に関連して少し考えた。

首相からもこの事件を教訓とした対策立案の指示が、関係部署にくだされたようである。
具体的には、何か犯行予告があった場合のより実効性のある犯罪防止策を考える必要がある、ということであろう。
今回の事件でも記名付きで犯罪予告があったわけだが、しかし何時どこの施設を襲撃するのかという具体的な記述が無かったことで犯罪現場に警察が出動するとなどの対応は出来なかった。
現場出動が無理ならば、予告をした人物を拘束することが考えられる。
ただしこの場合の容疑は何になるのだろう。

犯罪予告における罪状は威力業務妨害などが時々適用されるけれど、攻撃対象が特定されていない場合でも警察の警備負担を増やしたということで警察に対する偽計業務妨害などが適用されることもあるらしい。

いずれにしても犯人は殺人未遂やテロ未遂などで拘束されるわけではない。
事件を実際に起こしていない以上、いつまでも拘束し続けるわけにもいかず、どのタイミングで釈放になるのかは分からないがいずれ放免せざるを得ない。
放免された人物は、遠からずまた犯罪予告を行うかもしれない。
あるいは予告無しで今度はいきなり犯罪を実行する可能性もあるだろう。

このようなリスクに対し、そういう危険人物にはなんらかの基準でGPS発信機などの追跡装置を付けることが効果的ではないか、という議論が当然起こる。

殺人やテロに限らず、性犯罪や薬物常習者など再犯率の高い犯罪常習者のに追跡装置を義務付けるアイデアは、その有用性や必要性は検討の価値はあると思う。
ただし、この場合困難が想像されるのは、ギリギリこのくらいの危険人物には追跡装置を付けた方がよいというのと、ギリギリこのくらいの人物には追跡装置は要らないだろうという範囲の境目、境界線をどのように引くかである。

この境界線の引き方は、技術的にも法律的にもかなり難しいように思える。
線の引き方を広めに取ると、たとえばまったく無実の人に間違って追跡装置を付ける誤りも増えるだろう。
線の引き方を狭くすれば、装着すべき人間に付けそびれる、という誤りが起こる。

ひとつには精神鑑定や犯罪鑑定の技術向上も必要であろうし、犯罪でっち上げなどの冤罪発生の可能性を極小化する努力が必要だと思う。

このように考えると、冤罪防止のための捜査の透明性確保において日本の制度と実情は国際的にもかなり後進的であり、したがって追跡装置の件の前に捜査の真の透明化・可視化を行うことがまず必要ではないか、と思うのである。
posted by ヤス at 16:03| Comment(0) | 徒然なるままに