2016年07月20日

政治の差別化

さて、東京方面ではこの暑さの中、都知事選がたけなわでテレビで政策討論を戦わせたりしているようだ。
今回の都知事選は、与党側の分裂と野党側の候補一本化がトピックである。

与党側は民進と共産の選挙協力を野合と攻撃しているが、一方の与党側も自民・公明は政策内容や改憲の方向性でぴったり一致しているわけでもない。
冷めた目で見るならどっちもどっちのようであるが、にもかかわらず与野党が「考え方の垣根を越えて」一致団結しているのは、ひとえに衆議院が小選挙区になったことの効用であることは間違いない。

選挙区が一人区になったので、少数野党では政治参加のチャンスがまったくない。
だから政治的発言力を得るためには思い切って与党に乗っかるのが第一の選択肢となり、どうしても与党がケッタクソ悪くて乗れない場合は、残った在野勢力を結集して与党に対する他はない。

ところでしばらく前まで、具体的にはまだソビエト連邦が存立していた30年前には、共産主義と自由主義の対立、という社会思想的対立がかろうじて残っていた。
その後ソ連が消えて東ヨーロッパ諸国も次々自由化し、共産主義革命の夢はほぼ絶滅したように思われる。
その代わり共産主義より幾分マイルドな社会民主主義思想がヨーロッパを中心に勢力を得て、福祉も手厚いが税金もべらぼうに高い高福祉国家の流れが出来つつあって、その流れがついにはアメリカ大統領選にも影響する、ということになっている。

「共産主義」と「社会主義」の違いがよく分からなかったのでネットで調べたら、共産主義は社会主義の最終進化形であって、大きな政府で所得再配分に積極的だがいくらか市場経済要素を残した社会主義に対し、すべての経済システムを国有化・国家統制するのが共産主義、ということのようである。

で、日本の各政党の政治思想的な方向性だが、今、与野党の主張を聞いていると社会主義的であるのか自由主義的であるのか、まことに分かりにくい。
日本は北欧等の高福祉高負担国家、アメリカなど低福祉低負担国家との比較で「高福祉低負担国家」などと言われることがある。
実際には必ずしも低負担ではないと思うが、少なくとも日本では、例えばアメリカでオバマ大統領が国民皆保険を訴えるとリバタリアンたちが一斉に反対を唱える、というような国民側の政治思想に裏付けられたような動きが見られない。

だから与党も野党も高福祉低負担の政策プランをアピールし、与野党間の政策の違いがなくなる。
ついでに国債発行も増える。

そして同じようなことを言っている政治家がたまたま与党だったり野党だったりしているので、選挙民としても選択に困る。

マーケティングの世界では、競争に勝って利益を上げるためのポイントは「差別化」にあるということを昔教わった。
差別化の無い同質化競争では、利益はどんどんゼロに向かう。

だから政策の差別化を実現するために政党の側も国民も、やれネトウヨのバカだの左翼の偏狭だのとわめいていないで、たまにはまじめに政治思想について考えることが必要だと思うのだがまあ無理かもしれない、と思った。
posted by ヤス at 11:21| Comment(0) | 徒然なるままに