2016年07月19日

ソフトバンクのARM買収

昨日7月18日に、孫正義率いるソフトバンクがイギリスの半導体設計会社「ARM」を買収するというニュースが駆け巡った。
このニュースを聞いてイギリスには海の日が無くて今日も世界は動いているのだ、と気付いた。

ところでニュースでもさんざん伝えられている通り、ARMは製造部門を持たず半導体メーカーに設計を売って収益を得ており、したがって仕入原価がほぼゼロ、粗利率は95.9%の高収益企業らしい。

買収金額は直近株価に4割のプレミアムをのっけて日本円で3.35兆円であるが、それに対してARMの年間売上高は直近期で1800億円程度と以外に小さい。
ただし前述のとおり売上のほとんどが粗利で営業利益率は5割以上。
今世界で製造されているスマホの97%にARMの技術が乗っかっているらしく、かつ今後予想される自動車や家電製品の「IoT化=Internet of Things(モノのインターネット)化」の組み込みチップとして爆発的な需要が見込まれている。

またあるサイトを見たところ、スマホ1台当りのARMの売上(ライセンス料等)はおよそ5〜30円程度らしい。
アップルなどが最終製品も作って巨大な売上を創造しているのに比べると、同じ高収益企業とはいえだいぶようすが違うようだ。

現在ソフトバンクが注力しているスマホ事業に大きく関わっているARM社であるが、孫正義としてはスマホよりは近未来のIoTの爆発的普及に大きく乗っかるための重大な布石、それが今回の買収劇のようなのである。

ところでここで心配になるのが今回の巨額買収によるソフトバンクグループの財務に与える影響である。
ソフトバンクグループの2016年3月期の決算は売上8.1兆円、総資産20.7兆円、そして現預金が2.5兆円、固定負債が12兆円である。
今回の買収資金としては、先頃売却したアリババ株などの代金2兆円を投じる他に、つなぎ資金としてみずほ銀行から1兆円借りるがこれも追加の株式売却代金が入り次第返済するのだという。
したがって固定負債12兆円は増えない、また新株発行などの資金調達もしないという説明。
しかし手元資金が流出すれば間接的に運転資金の借入が増えたりして少なからず財務に影響するに違いない。

まあソフトバンクは20年前から3年以内に潰れると言われ続けてここまで来た「実績」がある。
だから今回も大丈夫なのかもしれない。

しかしソフトバンクは不思議な会社だ。
アップルにはマッキントッシュやiPhoneなどの看板プロダクトがある。
マイクロソフトにはウィンドウズ、フェイスブックやグーグルだってサイト運営を通じた広告収入というビジネスモデルが有る。
だがソフトバンクグループには看板プロダクトも分かりやすいビジネスモデルも無い。

その代わり、ヤフーやアリババやその他の有望企業にいち早く投資して含み益を得る。
それでさらに新しい企業に投資する。
その間、PCソフト流通に始まりブロードバンドや携帯電話事業などの普通の事業を何本か走らせて日銭を稼ぐ。

そういうことを考えると、ソフトバンクの本質は未来予想をして有望分野に投資する投資業なのであろう。
そして、わたしとしては通信やIoTより「ペッパー君」のロボット事業の今後がどうなるか気になるよなあ、と思った。
posted by ヤス at 13:57| Comment(0) | 徒然なるままに