2016年06月26日

憶えると忘れる話

人間は忘れる生き物であると思う。
これは裏返して言うと、それだけいろいろなことを記憶する習性があって「忘れる対象となる項目」がたくさんあるということである。
おそらく人間は、犬や猫やチンパンジーよりもたくさんのことをより詳細に記憶するので、比例して忘れる量も多いのである。

昨日YouTubeで、競泳の過去のオリンピックや日本選手権等の動画をなんとなく見ていた。
そうしたら3つの五輪で18個の金メダルを獲った「マイケル・フェルプス」の名前をど忘れしていて思い出せない。
名前が出て来ないと、フェルプスのあのいかにも水の抵抗の少なそうな鋭角の顔つきまでイメージできなくなって少々慌てた。
しかしネット検索は便利なもので、「ライアン・ロクテ、ライバル、オリンピック、個人メドレー、金メダル」などと入力すると、ものの2秒ほどであの三角顔がPCの画面に出てきた。

その時に、ある人物の名前とその顔のイメージはわたしの脳内でたぶんセットで記憶されているのか、と思ったのだが、犬や猫なら当然「フェルプス」の名前を記憶することもなく、ただのいかつい人間のオッサンくらいにしか思わないだろうとも思った。

いずれにしても人間は、犬や猫と違い自分も含む周囲の人間に名前をつけて識別し、あの彼はせこい、こっちの人は力持ち、など多くの付帯情報とともに記憶する。
人間以外にもあらゆる物体、地名や現象、抽象的概念などもこの調子で命名し付帯情報とともに記憶する。
そのあたりの個体識別と付帯情報記憶にかける執拗さは、犬や猫、あるいはチンパンジーあたりとくらべても隔絶している。


話は変わるが先日ある販売業に従事する人と雑談していて、競争相手がひしめく中でお客さんに買ってもらうためには、いかに忘れられないようにするかが大切だという話になった。
例えば昼メシに中華料理を食べたいと思った時にパッと脳裏にいくつの店が浮かぶか、おそらくそれは10店も出てこない。
ひょっとしたら3つ4つくらいではないか。
次々と新しい飲食店がオープンする中で繁盛を維持するには、パッとお客さんの脳裏に浮かぶ3つ4つの店の中に、常に入っている必要がある。
その販売業の人は自分のお客さんに忘れられないようにどうするか、いつも考えていると言っていた。

人間は個別の人物、個別の飲食店の名前を記憶し、その個体識別名称の周辺に詳細情報をいろいろ付帯させて記憶している。
お客さんに忘れられないためにはその付帯情報をいかに美味しそうなものに保つか、あるいは新しい情報を適当な間隔で投入するか、そういうことが必要なのかな、などと思った。
posted by ヤス at 11:04| Comment(0) | 徒然なるままに