2016年06月11日

お客様はたぶん神様ではない

かつて三波伸介(※三波春夫の間違いです)はお客様は神様だと言った。

いわゆる客商売というのは世の中にたくさんある。
最近は少し格好を付けて「B to C」なんて言ったりもする。
BtoCの商売を見て思うのは、法人営業の会社に比べて接待とかしなくていいからすごく楽そうだなあということである。
もちろんBtoCの商売、例えば1枚500円のお好み焼き屋なんかの場合、毎日たくさん来店するお客さんに対し、少なくとも500円、もしくはやや色を付けて600円相当分くらいのサービスを提供しないといけない。
ただ、一人一人のお客さんの取引金額は少ないので、よほどのことがない限り料亭を貸し切り、お客さんに対し酒池肉林の大接待を繰り広げたりはしない。
一回500円のお客さんにそんなことをするのは経済的に合理的でない。

一方でお好み焼き屋に豚肉を納めている仕入業者から見ると、これはBtoBの関係であるが、少し様相が異なるであろう。
月に豚肉を10万円でも買ってもらっていたら、まあ酒池肉林の接待は無理だろうけれど、肉を配達したついでに、お好み焼き屋のオヤジにおべんちゃらのひとつふたつも言って帰らねばならぬ。
これがさらに毎月和牛を100万円くらい買ってくれる焼肉屋が相手だと、これはいよいよ接待の経済合理性が生じるくらいのレベルになる。
(ただし現実の飲食店と仕入先の関係はかなりドライであることが多いようだが)

要するにBtoCの商売をしている人たちは、お客さんに対し1回500円分か10000円分かはともかく、その売値相当のサービスをしていればよく、一方で仕入れ業者に対してはかなり偉そうにすることができる。
これはBtoC、いわゆるコンシューマービジネスが、マーケットにおいて直接付加価値を創造しているのに対し、コンシューマービジネスに原材料などを供給する周辺ビジネスは、ほとんどそこにぶら下がっているだけに過ぎない、そのような力関係の反映であると言える。

もちろんBtoBの下請け業者でも、例えば自動車業界におけるアイシン精機やボッシュなどのように独自技術を確立して、上得意である自動車メーカーに対する価格決定権を握っていたりすることもある。
つまり日々脳みそをひねり、マーケットにおいて付加価値を創造する存在こそが、現代資本主義社会で最強の存在なのだと言える。

そうなると、マーケットの主たる構成要素であるところのコンシューマー=一般消費者とは一体なんなのだろう。
一般消費者である大衆は、気まぐれでわがままで、ほとんど思いつきで行動する、ビジネス側から見ると非常に厄介な存在である。
そういう点では接待や袖の下である程度コントロールできる(?)法人顧客の方がよほど付き合いやすい。

三波春夫がお客様は神様、と言ったのは、お客様は神様のように自由に振舞っていいよ、ということではなく、三波春夫がステージで歌を歌うときに神様に捧げるような気持ちで歌ったのだ、という意味であるらしい。
これはあくまでわたしの個人的意見だが、お客さんはまったくのところ神様ではない。
なかなか思い通りになってくれない、いたずら好きで気まぐれな「妖精」である、くらいに思っておくのがおそらくは無難で良いように思う。
posted by ヤス at 11:31| Comment(0) | 徒然なるままに