2016年06月09日

最適な急ぎ具合

仕事にはていてい締め切りがある。
というか、締め切りのない仕事はない。

仕事を進める一連の作業は、ほとんどの場合面倒くさい。
したがって締め切りがないといつまで経っても終わらない可能性が高いと思われる。

考えてみるとこの締め切りにはいくつかの種類があるのではないか。
大きく2つに分けて、余裕のある締め切りと、ギリギリな感じの締め切りがあるだろう。

ソフトバンクを率いる孫正義氏はその著作の中で仕事は割り算でやれ、と言っていた。
つまり、いつまでに終わらせないといけない仕事かの見極めをして、ゴールから逆算して工程を決めるべきという考え方である。
そんな調子だから孫氏の元で働いていると、締め切りはいつでもギリギリか、それはちょっと無理なんじゃないかというレベルのことが多くてみんな苦労しているに違いない。

これに対し、作業工程を積み上げていって、この作業量であればこれくらいの時期に終わるだろう、と計算する方式もある。
このやり方はしばしば官僚化し、スピード感が失われた大組織の弊害として語られる。
それ以外にも、基本的に例えば社外の外注先に仕事を依頼する場合、あまり締め切りがぎりぎりだと質失礼に当たるというので、少し余裕を持った依頼をする場合もあるのかもしれない。

でもこれも考えようで、あまりに余裕の有り過ぎる締め切り設定の場合、仕事がダレる、最初の打ち合わせで話していた内容を忘れる、そのうち別の仕事が割り込んできて後送りになるなど、ろくなことがない。
それに余裕のある締め切り設定の場合、クオリティが6分7分の出来だとちょっと言い訳しづらい。
だからほとんどの場合、依頼される仕事の締め切りは無理目に急ぐ感じの方が良いに違いないのである。

にも関わらず、積み上げ型で余裕のある締め切りの仕事はまあまあ多いし、いわゆるサバを読むという昔ながらの手法で余裕時間を獲得するせめぎあいが、あちこちで行われていると想像される。

よくオリンピックが決まったのはいいけれど、会場となるスタジアムの建設が計画より大幅に遅れて開催が危ぶまれるという事件が起きるけれど、不思議な事にオリンピックが終わってみれば大きな問題にならず結局は辻褄が合っている。
新興国やラテン系の国でオリンピックが開かれるときはお約束でそうなるけれど、さすがに陽気で呑気なラテン系諸国でも締め切りが迫ると瞬発的な馬鹿力が発揮できるらしい。

おそらく人間は、本質的にはナマケモノなので締め切りはなるべく余裕がある方が本来うれしい。
しかし現代資本主義社会は基本的に「締め切り」が支配する社会なのであろう。
陽気で呑気な民族も締め切り効果で本気にさせる。
あるいは資本主義下ではナマケモノは経済的敗北を喫する運命なので、敗北は嫌だなと思ったら何かに憑かれたように先を急がねばならない。

ここで問題はどの程度先を急ぐかということだ。
適切な睡眠をとったうえで精神的な健康を維持しつつパフォーマンスが最大化する「急ぎ具合」というのがあるのだろうか。
もしあったらその方程式を知りたいなあ、とふと思ったのでした。
posted by ヤス at 15:41| Comment(0) | 徒然なるままに