2016年06月01日

「足りない」について考える

2014年頃から続くバター不足がなかなか解消しないらしい。
農水省は秋までに6千トンを緊急輸入することを決めて需給逼迫に対応するという。

そもそも世界的には、バターは需要が一服してややだぶつき気味、だから値段も安くなっている。
それが日本だけ品薄が続き値段も高止まりというのはなんとも納得いかない。
まわりのケーキ屋やパン屋もバター不足で非常に困っているところが多いようだ。

バターの品薄状況が続く理由は、報道でもさんざん言われているようであるが、おおもとの原因は輸入を全部農水省が管理しているからである。
バターは民間企業が勝手に輸入できない国家管理品目になっていて、国家管理品目になっている理由は酪農家保護のため。

その辺はいろいろな理屈や仕組みがあるのだろうが、基本的に酪農家を保護するためには農産品が余っているより足りない状況の方が都合がよい。
だから余りが出ないようにギリギリの線で需給調整をしているのだろうけれど、需給見通しが少し狂うと基本的に余る方に行くのではなく足りなくなる方に傾くことが多い。

これは本当に困った話で、消費者目線からはなんともやるせない。
それにこのような頑なな需給調整体制のもとでは酪農家としても経営の自由度が奪われて逆に活力を削がれるだろう。


「足りない」話で勝手に連想してしまったのだが、東京都知事が外遊費や議員時代の政務活動費をかなりゆったり費消したり、消費税の増税を延期するついでに秋口に大型の補正予算を組むとかいう話があって、そのあたりおカネの「不足感」が逆に足りないんじゃないか、という気がものすごくしてきた。

日本の政府債務はGDP比200%を超えていて、主要国中でもずば抜けた水準にあるわけだが、これもよく言われるように、これら借金の債権者はほとんどが日本国内の個人や企業である。(最近は日銀がダントツ最大の債権者であるが)

要するに日本国内の個人や企業がたくさんおカネを持っていたために、日本政府はこれまであまりためらうことなく国債発行を継続できた。
個人や企業でおカネの不足があまり無かったことが政府債務がここまで膨らんだ主要因とも言える。
逆に、個人や企業のおカネが足りなくて貧乏であった方が政府の財政規律がここまで緩まなくて済んだという理屈になる。

またまた話は変わるが、最近はアメリカ大統領候補のトランプ氏が日本からの米軍撤退発言をちらつかせたりしている。
もし本当にアメリカと現在の軍事同盟を解消したらどうなるのか。
日本が独自防衛の道に行って他の先進国並に軍事費をGDP比2%にすると今の防衛予算5兆円が倍の10兆円に増える計算だ。

逆に言うと今までGDP比1%以内の軽武装で来れたために、数兆円の「浮いたおカネ」が知らない間にあちこちで便利に費消されて、ちょっとおカネの感覚が狂ったという面があるのではないか。

バターのように足りなくて腹立たしこともあるけれど、余りすぎてユルユルということもあるような気がして、足りなくてカツカツ状態というのも緊張感を持って生きていくためには必要だなあ、と思ったりした。
posted by ヤス at 15:17| Comment(0) | 徒然なるままに