2016年05月10日

水連派遣基準が目指すこと

先月に行われた水泳の日本選手権兼五輪派遣選考会で、北島康介は100m平泳ぎで惜しくも選考基準を突破できなかった。
派遣基準は2位以内に入り、決勝レースで派遣標準記録59.63秒を破ることだ。
北島は準決勝で59.62秒を出し、決勝では59.93位の2位。
北島は2位に入って記録的にも派遣標準を一瞬上回ったが、それが決勝ではなかったのでオリンピックに行けなかったわけだ。

個人的にこれはものすごく厳しいなあと思ったのだった。
世間的には合わせ技一本で行かせてやれ、というのもちらほらあったようだが、それほど大きな声にはならなかったようだ。
それというのもこの派遣基準が拡大解釈の余地がまったくなく、誰がどう考えても今回の北島は派遣基準に達していなかったのが明確だったからである。

もし派遣するとなると特例による救済というかたちになる。
しかし水泳連盟では救済措置についてはそのそぶりも見せていない。

だいぶん前の話になるがアテネ五輪のオーストラリアの選考会400m自由形で当時スーパースターであったイアン・ソープがスタートのフライングで失格になったのだが、この時はオーストラリア国内の世論が沸騰して、そのプレッシャーに気圧されたか出場権を獲得していた選考会1位の選手が辞退して特例によりソープが選ばれた。

もし同じようなことが日本で起きたら、同じように特例措置が発動されるのであろうか。
例えば萩野公介は400m個人メドレーの金メダル候補最右翼だけれど、萩野がフライングで失格になっていたら救済されていただろうか。
たぶん今の日本水泳連盟だと、救済はしないのだろう。

それはそれでひとつの見識である。

日本水連の厳しい派遣基準によって、日本の競泳チームは与えられた各種目の出場枠2枠に対し、北島が出た100m平泳ぎ以外にもいくつかの種目が派遣無しになった。
これはたいへんにもったいないなあ、と思われるわけであるが、一方で日本からオリンピックに出るためには高いハードルを超えないといけない、そのために選手が高いレベルの記録を意識するようになる。
実際に北京五輪以降、低迷していた日本水泳チームは各種目まんべんなくレベルが上がり、厳しい派遣標準記録を破る選手も増加傾向にある。

近い将来国内選考会の決勝8人に残る選手は誰もが派遣標準に手が届くレベルになって、派遣標準を切るのが当たり前になる時代が来るのかもしれない。
そうなったら日本チームは現在最強のアメリカに伍する水泳強国になっているだろう。
そういう長い目で考えるならば、やはり北島を特例で救済しないことにはたいへん意味があるよなあ、と思った。
posted by ヤス at 10:56| Comment(0) | 徒然なるままに