2016年04月20日

100m10秒の壁

今年はオリンピックイヤーなわけでいろいろな注目点があると思うのだが、陸上100mの桐生選手が10秒の壁を突破するかどうかというのもたいへん大きなポイントだ。

陸上100m競技で史上初の10秒突破は、高地で行われた1968年のメキシコオリンピックのハインズ選手だった。
で、その後平地で初めて10秒を突破したのが1983年に9.97秒を出したカール・ルイス選手。
カール・ルイス選手以前は高地で2人の選手が突破していただけで、当時は世界の陸上界全選手にとって10秒は大きな壁だった、というのは今から思えばやや意外な気がする。

10秒突破選手は、1980年代以前はのべ8人しかいなかったらしい。
それが1990年代の10年間でのべ31人が突破。
2000年からの10年間でのべ67人が突破。
さらに2010年から今年2016年までにのべ37人が突破している。
2010年代からの突破ペースがやや鈍っているように見えるが、それでも昨年2015年は12人が突破するという当たり年になっている。
12人の中には、アジア人初の中国選手も1人入っているのだ。

スポーツの世界、特に記録を競う陸上や水泳には「100mの10秒の壁」のような「壁」がいくつもある。

ただ、「記録の壁」といってももちろん物理的な壁が実際にあるわけではない。
人間が適当に決めた「1秒」という時間の単位に10進法上キリのよい「10」という数字を掛け算した時間の長さと、陸上のトップアスリートのベストタイムがたまたま交錯した時代があった、ということに過ぎないわけだ。

人間というのは、目の前に目指すべきモノがあるとついそれを目指してしまう、そういう単純な生き物であるとわたしは思っている。
陸上100m競技の10秒とか、ほかの競技における1分や15分や2時間とか、いろんなキリのよい数字が記録の壁としてある。
でもそれは、ぶつかってもなかなか突き崩せない堅固な壁である、というよりは、もう少し頑張ったらひょっとして手が届くかもしれない目標、そういう意味合いのものであるような気がする。

素人のマラソンの世界にもサブフォーとかサブスリーとかいうのがあって、3時間切り4時間切りとかいうのがひとつの目標として意識される。
3時間とか4時間は、たまたま人間が決めた時間単位上のキリがよい、というだけの本来たいして意味のない時間の長さであるが、これを区切りの目標として意識するとによって、いつもの感じだと4時間3分でしか走れない人が、最後の方いつもより余計に頑張って4時間1分になったり3時間59分になったりする。

記録の壁は越えられない壁、突き破れない壁というより、頑張るための目標、足掛かり手掛かりになる数字なのではないか、と思ったのでした。
posted by ヤス at 11:26| Comment(0) | 徒然なるままに