2016年04月17日

リクルートスーツ

さて、新年度の4月も半ばを過ぎた。
巷の企業では新卒の新入社員がぼちぼち職場に慣れてきたことだろう。
同時に、慣れてきて周りが見えるようになり、職場の人間関係構図も覚えてきて、また上司や先輩もお客さん扱いが抜けて来て、だんだん当たりも厳しくなってくることだろう。
ひょっとすると自社に関する悪い評判や資金繰りに奔走する社長の姿をチラ見したりして一抹の不安を感じるかもしれない。

5月病の時期を過ぎると、そろそろ決断早い組から最初の離脱が始まるに違いない。
そんなことを思いながら、まだリクルートスーツ跡を色濃く残す新社会人たちの群れを眺めたりする。
と思っていたら、今年から就活解禁が4月に後ろ倒しになったようなので、わたしが見た黒っぽいスーツの群れはひょっとすると就活生そのものだったのかもしれない。

ところで就活時期が到来するたびに、あの判で押したような「スーツの群れ」が批判の対象となる。
私生活では茶髪や金髪が当たり前でオサレな格好が好きな人も多いと思われる20歳過ぎの若者たちが、就活時期だけ黒髪に黒スーツで群れをなしているのを見るのは、正直やや不気味な印象すらある。

バブル世代で「働かないお荷物」と評判だった我々の時はどうだったかなあ。
バブル世代の時は、正式な就活をしていないわたしの記憶には残っていないけれど、あのカラスの群れのような就活生スタイルの始まりは、就職氷河期と言われていた1990年代後半に遡るのではないかと推測する。
あの頃に、企業を50社も100社も受けてやっとの思いで内定を勝ち取る、または勝ち取れず悲嘆に暮れるというパターンが形成されたのではないか。
少なくとも青田買い世代だった我々の頃には、そんな話はなかった。

企業の求人数が学生の求職数をかなり下回っていた氷河期ならともかく、若年世代の絶対数が減って再び売り手市場となった就活戦線では、学生の方が絶対有利なはずなのでは、と思うのだが。

なのにどうしてカラスの群れは無くならないのか。

これは想像であるが、数の少なくなった学生たちが就職を望む企業は実は全企業の中の数パーセントであって、その少ない本命企業に大半の学生が殺到するために学生の売り圧力が弱まらない、ということがあるのではないか。

そういう有望企業は全国・地域レベルのそれぞれにいくつか存在し、その「就職したいランキング」から漏れた大多数の企業は学生から滑り止めのスリップストッパー扱い。
で、実際に学生が就職する先はほとんどがスリップストッパーなので、5月病罹患率も自ずと高まるというもの。
こういう状況は何も良いことはない。

こういう状況を打破する一手段として、本命企業が就活生の個性をもっと評価すること、そのために横並びのリクルートスーツを減点対象にするくらいのことが必要だろう。
問題は、本命企業の中が実は個性的だと生きにくい組織構造で、むしろカラスの群れから採用する方に知らず知らず傾く傾向が強いことなのではないか。

就活スーツは紺色が良いか黒が良いか先生に質問して、無難な黒がよろしい、と言っているようでは日本の将来は底が見えている。

世の大半の本命外スリップストッパー企業は、その辺りに留意して、せめて白いカラスや赤いカラスを見つけるようにすべきではないか、と思ったりした。
posted by ヤス at 11:35| Comment(0) | 徒然なるままに