2016年03月06日

技術の成熟と成長の余地

鹿児島県出身の競泳選手で、現在萩野公介選手と同じ東洋大学に在籍する山口観弘選手は、現在日本競泳陣で唯一の世界記録保持者だ。
もう4年ほど前の2012年の国体200m平泳ぎで、高校3年生だった山口選手は世界記録を出した。
2012年はロンドン五輪の年だったが、春先の選考会で山口選手は派遣標準記録を突破したにも関わらず、北島康介、立石諒の両選手の後塵を拝して出場を逃したばかりだった。

で、その時は山口選手が今後どれくらい記録を伸ばすのかものすごく楽しみにしていた。
ところが山口選手は国体の後記録に恵まれず、後の国内の大会でもたぶんほとんど勝っていない。

高校生くらいの若い競泳選手の場合、身体が大きくなったり技術的な成長があったりしてある時期記録がジャンプアップすることがままある。
日本の多くの競泳選手は、3歳とか4歳とか小さい頃から泳いでいる人が大半で、高校生の選手はほとんどがキャリア10年以上のベテランだ。

トップクラスのスポーツ選手はみんな目一杯の練習をしているだろう。
競技を始めた当初は5秒、10秒の単位で面白いくらいに記録が伸びただろうけれど、それがだんだん1秒、2秒になり、やがてコンマ何秒の単位になって、記録の向上がどんどん難しくなる。
20歳前後の男子選手の場合そろそろ身長の伸びも止まって、土台のところで自動的に記録を伸ばしていた要素が無くなる。
そこからさらに記録を伸ばすには、今まで鍛えていなかった部位の筋トレをやるとか、泳法動作のコンピューター解析とかこれまでにない科学的な手法を取り入れるとか、新しい「何か」が必要になるのだろう。

平泳ぎという泳法は単にパワーがあれば速く進むという単純なものではなく、推進力アップと抵抗減少の高度なバランスの上に成り立つ泳ぎ方である。
山口選手の場合も、身体の成長が止まった中で泳ぎのバランスポイントを求めて苦闘しているのかもしれない。




ところでスポーツ選手ではなくて仕事とかでも、それを始めたばかりの頃と何年もやって習熟してきた頃では、々の成長の具合がだいぶ違うだろう。
何年も続けてやっている仕事は、やり始めの頃に比べるともうあんまり成長の余地がない。
まあそれでもベテランとして一定以上の給料が貰えていると、技術の向上に対する関心がだんだん薄れてくるのが人情というものかもしれない。

しかし競泳の平泳ぎとかもう百年くらい同じような枠組みの中で競ってきて、水着やプールや泳法動作の部分で記録向上したこともあったけれど、それ以外は各選手の創意工夫によって今もコンマ1秒とかの単位で記録は伸び続けている。

そのようなスポーツ界における地道な記録向上の努力を思うと、成熟しきってある種のパターン化に陥っている仕事とか、会社全体としての仕事のやり方とか、工夫の余地がまだまだ無限にあるように思える。



ということで、世界記録保持者の山口観弘選手の苦戦の原因はわたしにはよく分からないけれど、何か突破口を見つけて近いうちに華々しく復活することを期待したい。




posted by ヤス at 15:06| Comment(0) | 徒然なるままに