2016年02月17日

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金についてのニュースを最近目にする。
わたしは日本においては同一労働同一賃金の法制化は難しいのではないかと思っている。
というか、今のところはどちらかと言えば反対の考えである。

同一労働同一賃金は、国際労働機関(ILO)憲章に掲げられており基本的人権のひとつとして謳われているらしい。
このことが推進派の論拠として大きな土台になっていると思われる。

ILO的な考え方には、賃金決定における男女差別や年齢差別などを廃絶しよう、というのがあるのだろう。

特に戦後日本は終身雇用の労働慣行のもと、結婚や出産で途中離脱しない男性を偏重し、会社への忠誠を煽って年齢や勤続年数に重きを置いた賃金決定が主流であった。
ところが2〜30年前頃から世の中の変化スピードが尋常ではなくなってきた。
企業では環境変化に対応するために、組織体制を時々がらりと刷新する必要が出てきた。
従来のように、ずっと固定的であった業務内容に合わせて特化・固定化していた組織体制では持たなくなった。

こうして終身雇用が相当程度壊れていき、人材の流動化が進み、非正規雇用の増加にもつながった。
このような中で同一労働同一賃金問題が浮上してきたのであろう。

特に日本では非正規雇用問題が大きいのだと思う。

非正規雇用者の増加が実質賃金の低下につながっており、貧困層の増加の大きな要因になっている。
だから同一労働同一賃金で非正規雇用者の賃金を上げよう。
あるいは非正規雇用者の正規雇用化を促そう。
そういう考えなのだろう。

しかし企業が支払うことの出来る人件費原資は、同一労働同一賃金導入で増加するわけではない。
法律が実現したとしても、企業側は知恵を絞って総額人件費が増加しないように血眼で工夫するだろう。


今の日本にも同一労働同一賃金的になっている業界がいくつもある。
運送業界のドライバーとか、外食業界の料理人とか、プロ野球やJリーグなんかもそうだろう。
これらの業界に共通するのは業界内における人材移動が活発なことである。
ドライバーや料理人の世界では、給料を払う会社によっていくらか差があるかもしれないが年齢や性別はほとんど賃金に影響していないと思う。(統計データを見た訳ではないがたぶんそう思う)
しかし、トラックドライバーの給料相場はこの20年くらいでものすごく下がったと聞く。

たぶん同一労働同一賃金には、日本の総額賃金を底上げするような力は無い。

しかし一方で、賃金の男女格差、年齢格差を適切にしていくことは必要だ。
だがこの問題も、企業社会における利潤低下や人材不足などによって自然と是正される方向に向かうような気がする。
あるべき労働法制は、そのような流れを促進する方向で存在すべきではないかと思う。

この問題については勉強不足で知らないことが多い。
もう少し掘り下げて調べてみたい。
posted by ヤス at 10:48| Comment(0) | 徒然なるままに