2016年02月01日

先進技術実証機

昨年末、本田宗一郎の悲願であったホンダジェットがやっと初納入され、その少し前には三菱のMRJが4度目の正直で(5度目の正直だったかな)で初飛行。

そして日本の航空業界にとっての次のエポックである、防衛装備庁が開発中の先進技術実証機が今月初飛行される見通しとのこと。

この3つの飛行機は、機体からエンジンに至るまですべて国内技術で開発されているところが共通点だ。
このところの日本の航空産業は、川崎重工のP−1哨戒機・C−X輸送機、少し前に出来上がった新明和の救難飛行艇US−2など、ほぼ完全な国産開発の新型機が続々と誕生している。
(US−2はUS−1のビッグマイナーチェンジ版といえるかもしれないが)

飛行機の開発は、機体素材となるアルミ合金やカーボンファイバー、飛行制御のためのコンピューターとアクチュエーターなど産業用ロボットに通じる技術など、広範な産業基盤が必要である。
それ以外にも、機体強度や空力特性を実物無しで精密にシミュレーションするためのスーパーコンピューターとか、あるいはエンジン開発には耐熱素材や燃焼制御などまた違う分野の技術が必要だ。

日本も航空開発が禁止された敗戦から70年経って、この間に自動車産業を筆頭に広範な技術基盤が出来たということなのだろう。
特に今後は広大な国土のアメリカや中国を中心に、プライベートジェット機や小型の旅客機の需要が急増すると言われているらしい。
そういう中で潜在的な能力の高い日本のメーカーが飛行機産業に乗り出すのはある意味必然なのだと思う。


ところで、冒頭に挙げた3つの新型機のうちの先進技術実証機(一部では「心神」というニックネームが使われているがこれは「公式」のニックネームではない)であるが、最近公開された本機の写真を見て多少の感想を得た。
本機は開発費を抑えるために操縦席とキャノピーはT−4練習機から、前後の車輪はT−2練習機から流用しているらしい。
これまでは主に模型や実機の上からのアングルの写真ばかり見ていて、外側に傾いた2枚の垂直尾翼など、いかにもステルス機然とした姿態が新しい感じがした。
だが最近のローアングル写真を見た感じでは、主脚周りの造形がまんまT−2練習機だなあと感じた。
いろいろな情報を見てみると、機体強度も飛行実験の数百時間に耐えられるだけの最低限のものに抑えているようで、開発費も400億円と最新の実用ジエット戦闘機とはゼロの数が2つ3つ違う。

現在実戦化に向けて開発中のF35などは、垂直離着陸型も含めた3形態の同時開発ということもあって開発費が約40兆円に膨れ上がっているという。

それに比べると開発費400億円の先進技術実証機は、あくまでステルスボディと新型エンジンのテストベッドとして極力簡便に製作されたことが想像される。

一部にはもう次期国産戦闘機の開発が始まったような雰囲気のニュースも流れているが、あくまで先進技術実証機は人が乗る実物サイズの模型飛行機くらいに思うのがたぶん正解なのではないかと思ったのである。
posted by ヤス at 14:38| Comment(0) | 徒然なるままに