2015年11月21日

意思の力について

前にスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業式のスピーチについて書いたけれど、3つのテーマについて語ったこのスピーチの3番目のテーマは「死」についてであった。

このスピーチでジョブズは、「死」はたぶん生命の最高の発明だ、と言った。
死は「Life’s change agent」だと言っている。

生き物はある個体が死んで次の世代にバトンリレーすることによって自分たちのDNAを後世に残す。
DNAをなるだけ末永く残すのであれば、個体の寿命が1万年とか10万年とかになっても良さそうだがそうはなっていない。

進化論的に言うならば、世代交代の時に微妙な形質の変化があって、その形質変化が環境変化にたまたま合致しているとその種の生き残りにつながる。
もし世代交代の時に微妙な形質変化が無いと、いつか環境変化に対応できなくなってその種は滅びる。


わりと重要なのは、環境は必ず変化する、ということだと思う。

太陽の年齢は46億歳で、46億年前のしばらく後に地球が出来た。
それ以来地球は全体的傾向としては冷えていきながら大気と海のある現在のような姿になり、その後は微妙に冷えたり温まったり隕石がぶつかってきたりしながら今日に至っている。
この間の地球の変化は、地球上に発生していた生き物たちに多大の影響を与えてきたであろう。
氷河期と間氷期のサイクルの中で多くの種が絶滅し、超でっかい隕石が降ってきた時には多くの恐竜が死に絶えた。
そのような環境変化に対し、生き物は個体が次々に死んで次の世代にバトンタッチして命を引き継いできた。

そしてそのうち哺乳類のようなより複雑な生き物は学習行動することによって、個体レベルでの環境適応能力を身に付けた。

さらに人間という生き物は各種のテクノロジーを産み出して変化対応力が他の生き物と隔絶するレベルに達した。

多くの生き物は、個体が死ぬことによって変化に適応することが出来る。
そして生き物の次世代への変化はまったくでたらめで偶然でたまたま運が良い場合に環境に適応出来る。

でも人間は本来、意思の力で変化に適応出来るはずなのだ。
何億年もかけてやっとそこまで来たのが人間という生き物だと思う。
でも人間のその能力はまだまだ不完全で、新米の魔法使いが上手く魔法を使いこなせないように、人間もなかなか上手に変化することが出来ていないように見える。

ひとりの人間の意思の力が、「Life’s change agent」になり得る日がいつか来るのであろうか。

などと思った。
posted by ヤス at 14:11| 徒然なるままに