2015年11月18日

急がば回れは難しい

急がば回れ
「自社製品購入、社員に「ノルマ」設定…シャープ」というニュースが流れている。

シャープがひどい状況なのはさんざん報道されていたが、これはとどめの一撃になるかもしれない、ひどい施策だ。

役員20万円、管理職10万円、社員5万円が事実上のノルマ額らしい。
シャープの社員は1万7千人ほどらしいから、トータルで10億円以上の売上になるのだろう。
この数字自体シャープの規模からすれば微々たるものだ。
販売は自社サイトからの直販だそうだ。
販売価格がどの程度か分からないが、流通業者に配慮するならメーカー卸値水準とはいくまい。
一般店頭価格の水準になるのではないか。

そこのところは分からない。
少なくとも十分な利益が含まれる売価になっているはずだ。
そうでないとやる意味がない。

売価は置いておくとして、ノルマを課して自社製品を買わせてそれで会社が利益を得れば、これは事実上のマイナスの賃金である。
労働法規上の重大な問題があるように思われる。


シャープに限らず組織が危機に際して採る対策は、多くの場合短期的な利益に縛られるようである。
例えば国家政策としての金融緩和は、資産効果や輸出企業の利益増をもたらして短期的な景気押し上げに寄与する。
が、その後に長期的な視点に立った産業構造改革が伴わないとむしろ病状を悪化させるだけに終わる。

しかし長期的対策に取り組むのは難しい。

個人の立場で考えても、ひと月後にダイエット目標を達成しようとする意志の力より、目の前の美味い食い物の誘惑が常に優勢である。
逆に言えば、組織体の存在意義は、個人では難しい長期の課題に取り組むことにあるとも考えられる。

シャープがまともな会社であるなら、何を買おうが社員の自由意思に委ね、むしろ積極的に優れた他社製品の購入を促して自社製品の開発に活かすようでないといけない。

そう言えば自動車メーカーでも取引先に自分のところの車に乗るよう強制している話をよく聞く。
が、そういうのは長期的な競争力の維持に間違いなくマイナスに作用する。

ただしシャープの場合、もはやそんなまともなことは言っていられない、ということなのだろうけれど。

シャープの事例は、そこまで追い込まれる前に長期的な施策を打っておかないとこんな困ったことになりますよ、という反面教師ととらえることができる。

残念だがシャープの近未来はほぼ見えた、と言わざるを得ない。
posted by ヤス at 15:22| 徒然なるままに