2015年11月03日

パソコン導入黎明期の思い出より

昔の職場で、とあるリゾート事業の損益計画を作っていた時期がある。
1990年を少し過ぎた頃だ。
バブル崩壊の後だったが、その当時の地方都市はまだ本格的な不景気に突入しておらず、先行きに多少の不安を抱きながらもまだのんびりと仕事ができた。
リゾート計画なんていうバブリーな仕事が、まだまだ生き残っていたっていうのも懐かしい。

その事業計画の作成にパソコンの表計算ソフトを使っていた。
というか、途中までは電卓で計算してキャノンのワープロで表にしていた作業が、ある日マッキントッシュUCiが我が社にやってきて、マイクロソフトExcelでやるようになったのである。

初めてマックを使った話については以前にも書いた。
また同じようなことを書く恐れがある気がするが、かまわず続ける。

それまで電卓で行っていた作業を表計算ソフトに移行したので、当然スピードがアップしイージーな間違いも減った。
何より初期条件を変えて計算をやり直す、という時に表計算は威力を発揮する。
そういうのは現代ではあまりにも当たり前で感動もないけれど、電卓から表計算への移行が行われていたその当時には間違いなく技術進歩への大きな感動があった。

しかし当時のわたしの立場は作業補助的なもので、先輩社員がマックをカチャカチャいじっているのを横目で見る、ということが多かった。
だからしばらくの間、社内における表計算リテラシーはかなりの下位に甘んじていた。

で、時おり社長あたりから表計算の仕事を頼まれたりすると、慣熟不十分のわたしの表計算作業はたびたび中断し、結局電卓を取り出して計算結果を直接入力するハメに陥ることもしばしばであったのである。


今の時代でも、営業一筋、とか料理の世界一筋とかでパソコンに1秒も触ったことがない、という人はたまにいる。
最近はパソコンも安くなり、普及が行き渡って猫も杓子も使うようになった。
だから今まで生きてきてパソコンを触ったことのないおじさんでも、ある日からパソコンを使いはじめたりする。

一昔前に、パソコンの導入はかえってオフィスの生産性を阻害する、という警告本がたくさん出版されていた時代があった。
だが今ではそれらの警告本が間違いであったことは明白である。
どちらかと言うとパソコンで生産性が上がったというより、パソコン以前の時代、パソコンが有れば10分で出来る仕事を2日も3日もかけてせっせとやっていたに過ぎなかった、というだけの話だと思うが。

それで、今になってパソコンの操作に苦戦しているおじさんを見ると、マックを初めて触った当時のことを思い出したりする。



ちなみに、わたしが表計算ソフトをなんとか使えるようになったなあ、と思ったのは次の職場に移ってからだ。
その職場にはパソコンがあって古いロータス123が入っていたが、他の人は誰も見向きもせず放置されていた。
そこでいちおう表計算経験者のわたしがパソコンのお守り係に任命され、マニュアルを見ながらぼちぼち操作を憶えたのである。

鶏口となるも牛後となるなかれ。
その社内におけるパソコンリテラシー最上位に君臨したわたしは、以降パソコンや表計算に対する苦手の意識も無くなったような気がする。

そんなこんなで組織において比較優位の一芸に秀でることは、それなりに有意義なのではないか、などと思う今日この頃なのであった。
posted by ヤス at 14:17| 徒然なるままに